2014 Fiscal Year Annual Research Report
南米につながる若者のアイデンティティと社会的環境--横浜市鶴見区の事例から
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14J03890
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
藤浪 海 一橋大学, 社会学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | エスニシティ / エスニック・コミュニティ / 国際移動 / 沖縄系移民 / ブラジル系移民 / ボリビア系移民 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は横浜市鶴見区の沖縄系-南米系移民の移住過程と当該コミュニティにおける世代交代を検討することによって、グローバリゼーション、とりわけ越境的な社会関係の拡大のもとでの、エスニシティの変容・再編成過程の解明を行うことである。2014年度は、移民ネットワーク論と分節化された同化理論を主な分析枠組みとし、横浜市鶴見区のブラジル系移民の移住過程と第二世代の進路選択に関する調査を実施した。具体的には、2014年5月から2015年1月にかけて同地区に在住するブラジル系移民1世および2世へのインタビューを行い,さらに2015年2月から3月にかけてブラジル・サンパウロ州へ渡航し,鶴見からブラジルへ帰還した人々へのインタビューを行った。集めたデータは,ジェンダーによって移住や進路選択,帰還のあり様が大きく異なることを示すために欠かせないものであった。とりわけ,先行研究で不足していたブラジルへの帰還移住の調査を行うことによって,男性に関するジェンダー規範が帰還に強く作用していることを明らかにすることができ,男性の移動とジェンダーとのかかわりについて考察を深め,分析を発展させることができた。 これまでの研究成果は2014年6月の関東社会学会および2014年12月の移民政策学会で発表を行った。関東社会学会では,コメンテーターの方をはじめとして多くの方々にコメントを頂き,移民第二世代に関する考察を深めることができた。移民政策学会では,関東社会学会で頂いたコメントを活かし移民第二世代について発表を行い,特に分節化された同化理論の観点から家族構成や学歴との関連についての指摘を頂き,分析をさらに精緻なものとすることが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
横浜市鶴見区とブラジル(サンパウロ市)におけるフィールド調査を実施し、沖縄系-南米系移民の移住過程を明らかにし、また移民第二世代の進路選択についての新たな知見を得ることができた。またそれらの成果を2つの学会で発表し、さらに研究論文としても投稿し掲載が決定した。このため、概ね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの調査において各エスニック集団(ブラジル系やボリビア系など)において所有している資本などに差異があることが分かっている。ブラジル系移民を中心としたインタビュー調査を実施してきたが,今後はボリビア系やペルー系、アルゼンチン系移民などにも聞き取り対象を広げ、各エスニシティ間の差異や関係に関しても考察を進めていきたい。
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Research Products
(2 results)