2014 Fiscal Year Annual Research Report
褐藻類における機能性オリゴ糖の生産に向けた有用酵素の機能解析及び改変
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14J04026
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
熊谷 祐也 北海道大学, 農学研究院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | β1→3グルカン / GH64 / オリゴ糖 |
Outline of Annual Research Achievements |
β1→3グルカンは免疫賦活化能や抗腫瘍性作用を持つ多糖である。同様にβ1→3グルカンのオリゴ糖のラミナリオリゴ糖も生理活性を持つ。多糖およびオリゴ糖における活性の発現は糖質認識タンパク質デクチン-Iで発現するためオリゴ糖による解析は有意である。ラミナリオリゴ糖の作製には褐藻類の貯蔵多糖であるラミナリンを酵素的に分解することで得られるが、これまでの酵素は賦活化能を持たないサイズのオリゴ糖まで分解した。そこでラミナリオリゴ糖の基本骨格を作製するため限定分解活性を有する酵素の取得を試みた。GH64はβ1→3グルコシド結合からなる多糖を5糖単位に切断するユニークな酵素であり、本酵素のクローニングを行った。 放線菌Kribbella flavida DSM 17836よりGH64酵素(KfGH64)の取得に成功した。KfGH64の至適温度は45℃、至適pHは5.5であった。各pH条件下で4℃、24時間のインキュベートによりpH安定性を検討した結果、pH 4.0-7.0で安定であった。40℃および37℃で4日間インキュベート後の残存活性はそれぞれ80%と100%であった。KfGH64のラミナリン加水分解物を分析したところ、最も短い鎖長は5糖でありそれ以上の様々なサイズのものを生成した。このことからKfGH64は分枝を持つ適度な長さのオリゴ糖の調製に適することが分かった。しかしながらラミナリンは高価であるため、安価なβ1→3グルカンポリマーであるカードランからオリゴ糖の調製を試みた。カードランの加水分解を促進させるためカードランの前処理条件を検討した。その結果、もともと10%以下の分解率が最終的に70%以上となった。カードランの加水分解物は生成物の80%は5糖であり効率的なオリゴ糖の生産法を確立できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の当初研究目的の達成度について、おおむね順調に進展していると考えられた。本研究課題においてこれまでの酵素ではオリゴ糖の調製が困難な状況であったが研究課題にあるオリゴ糖の生産に適する有用な酵素の取得に成功した。分解条件を検討することにより効率的なオリゴ糖生産法を確立した。それにより、これまでin vitroの研究において必要なオリゴ糖量(数g)しか手に入らなかったが、in vitroの研究に必要な量(数100 g単位)の調製を可能とした。それによりオリゴ糖を用いた様々な研究を展開していけると考えらえる。同君は既に2年目以降の課題である糖質と認識タンパク質の相互作用研究の準備段階に入っている。その過程で水産生物からこれまでの糖質認識タンパク質とは異なる新たな糖質認識タンパク質を見出した。その新規タンパク質に関しても機能性の解析を現在進めている段階である。これらのことから本研究課題の当初研究目的の達成度はおおむね順調に進展していることを申し上げる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降の研究計画は生化学的手法によるオリゴ糖の機能性の評価に関して研究を進めていく予定である。すなわち前年度の研究により糖質とその認識タンパク質の相互作用解析の材料を用意した。それらを用いて等温滴定型カロリメータや表面プラズモン共鳴といった相互作用を解析する装置により結合定数等のパラメータを求めることで評価する。これらの測定が困難な場合、古典的な結合定数を求める方法で評価する。
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Research Products
(5 results)