2015 Fiscal Year Annual Research Report
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14J04154
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 龍一 東北大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 放物型方程式 / 非線形境界条件 / 初期値問題 / 解の爆発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は非線形境界条件付き熱方程式の初期値問題における,初期値の空間遠方における増大度と解の存在時間との関係についての研究を行った. 初期値が空間遠方で増大する場合の時間局所的な解の存在について考察するために,半線形熱方程式と線形熱方程式の初期値問題を考える. 半線形熱方程式の初期値問題においては,初期値が空間遠方である程度増大する場合には時間局所的な解が存在しないことが示されている.一方で,線形熱方程式の初期値問題の非負値解は,初期値が空間遠方において指数関数的な増大度を持つとき,その増大度に関するパラメータを用いて解の存在時間が評価されることが知られている.さらに,解の最小値が無限大に発散することによって解が存在しなくなる状況が知られている. このように,非線形項の有無によって初期値が空間遠方で増大する場合は時間局所的な解の存在は大きく異なる様相を呈する. これらの例を踏まえた上で非線形境界条件付きの熱方程式の初期値問題の時間局所可解性を考える.この問題は領域内部においては線形であり,非線形項は境界上にのみあることから,境界から離れる方向に対しては初期値の増大が許容されることが期待される. 実際,境界との距離関数を考え,適切な補助関数を用いて解を評価することにより解の存在が得られた.この結果は昨年度の研究のある意味の改良となっており,これを応用することにより解の最大存在時間の評価も改良することができる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの研究の進捗状況では大きな問題は起きていない.学術論文として取りまとめる作業において多少の困難があり論文として研究成果を報告するのが多少遅れているが,その過程において研究成果としてより良いものになっているため結果的に状況は好転していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後も研究計画に則り,大きな変更は無く研究を推進していく予定である. 本研究は最終年度に入るため,今までの研究成果をまとめる作業と新たな問題点を発見した場合はその解決の双方に努める.
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