2014 Fiscal Year Annual Research Report
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14J04494
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
浅井 健吾 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | オリゴチオフェン / 光物性 / 酸化還元特性 / 一電子酸化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はβ位結合を介したπ共役の本質を明らかにすべく2本のα-クォーターチオフェン鎖をβ位を介して連結した環状オクチチオフェン1の合成に取り組んだ.β位で連結したクォーターチオフェンを出発原料として,高希釈条件で環状白金錯体を形成させ,還元的脱離を行うことで,高収率(68%)で1を得ることに成功した.また単結晶X線結晶構造解析を行うことで,1が楕円型の分子構造をとり,それぞれのα-クォーターチオフェン鎖のチオフェン環は全てs-cisの配座をとっていることを明らかにした.また3,3'-ビチオフェン部位の二面角は大きくねじれており,非平面構造となっていることがわかった. 吸収スペクトル測定を行ったところ,1の吸収極大は367nmであり,α-クォーターチオフェン2に比べて短波長シフトすることがわかった.一方で,蛍光極大は516 nmであり,2に比べて長波長シフトした弱い緑色蛍光を示した.理論計算により求めた基底状態と励起状態での最適化構造を比較すると,1は励起状態においてβ,β'位結合を介してキノイド性が増大し,分子全体で結合交替が小さくなるとともに,β,β'位結合の二面角が大きくねじれることがわかった.励起状態における大きな構造変化が,蛍光波長の長波長シフトの要因といえる. またサイクリックボルタンメトリー測定を行い,1がジクロロメタン中で3段階の酸化還元波を示すことを見出した.化学酸化で得られる1の一電子酸化種は2とは異なる特徴的な吸収スペクトルを示し,幅広いEPRスペクトルを示すことがわかった.理論計算とEPR測定の結果から, 不対電子スピンがβ,β'位結合を介して分子全体に非局在化することが示唆された.この結果はβ,β'位結合を介して,スピンが非局在化することを示した初めての例である.これらの結果は,Chemical Communication誌に速報として掲載された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的化合物である環状オクチチオフェンの効率的合成を達成することができた.また溶液状態での光物性測定,酸化還元特性の評価,一電子酸化種のESR測定などをα-クォーターチオフェンと比較検討することで,β,β'位結合を介したπ共役の観点から重要な知見を得ることができた.これらの結果より,当初研究計画として掲げていた目標を十分に達成することができたと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
高い電荷移動度を示すアモルファス性有機半導体の創製を目指し,本年度得られた環状オクチチオフェンの構造修飾をクロスカップリング反応等で徹底的に検討する.また得られる化合物のXRD測定,示差走査熱量測定,エリプソメトリー測定などを行い,アモルファス性の評価や薄膜の配向性について評価する.さらに得られた結果をもとに,アモルファス性と分子間相互作用を両立可能な分子構造を探索し,薄膜を作成して有機半導体としての性能評価を行う. また電気伝導体や超伝導体の創製を目指して,酸化反応を検討し、環状オリゴ(チオフェン-S,S-ジオキシド)の合成や側鎖への水素結合性基などの構造修飾を検討する.得られた環状オクチチオフェンおよび環状オリゴ(チオフェン-S,S-ジオキシド)を混合して電荷移動錯体を作成し,電気伝導度測定を行う予定である.
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