2014 Fiscal Year Annual Research Report
性被害による外傷後ストレス障害に対する認知行動療法の有効性
Project/Area Number |
14J04506
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石川 亮太郎 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
|
Keywords | 認知療法 / 行動療法 / 外傷後ストレス障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
性犯罪被害がきっかけとなり, 外傷後ストレス障害 (Post-Traumatic Stress Disorder) を発症することがある。外傷後ストレス障害を発症すると, a) 不安や恐怖による過覚醒, b) 外傷体験の原因になった人や物に対する回避, c) 事件の記憶が意に反して繰り返し蘇る再体験といった症状が現れる。これらの症状に加え,性犯罪被害の記憶を想起するだけで,自分の体が汚れたような感覚が生じる精神的汚染(Mental Contamination)いう症状に、多くのPTSD患者が苦しんでいる。本研究は、性被害による外傷後ストレス障害に対し、認知行動療法が有効なのかを検討する。具体的には、学会発表や著書の出版を通し本年度は以下のような成果を示してきた。 ・性犯罪被害による外傷後ストレス感情を悪化させる認知的要因(e.g.,責任の過大評価)を示した。さらにこれらの認知的要因に変化を与える認知行動療法が有効である可能性を示唆した。 ・性犯罪被害による外傷後ストレス感情や精神的汚染を軽減させるには,反応妨害法などが有効であることを示唆した。 これまでの研究計画は概ね順調に遂行されている。今後は、これらの研究成果をもとに、性被害による外傷後ストレス症状を軽減させるのに有効なアプローチを検討していく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
外傷後ストレス感情や性被害によって生じる不潔感情に対して、認知行動アプローチが有効である可能性を示唆できたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で得られた知見をもとに、外傷後ストレス症状に対して認知行動療法が有効なのかをさらに検討していく。具体的には、外傷後ストレス症状を持つ大学生・一般人などを対象にした介入研究を行い、その有効性を Post-traumatic Diagnostic Scale,Mental Pollution Questionnaire, Responsibility Attitude Scaleなどを用い検討していく。研究成果を国際学術雑誌(e.g., Journal of anxiety and depression)に投稿していく。
|