2015 Fiscal Year Annual Research Report
社会統制が犯罪行動に与える影響とその意図せざる結果
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14J05010
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鎌田 拓馬 東北大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 組織犯罪 / 違法市場 / 抑止 / 政策評価 / 因果推論 / 人種間格差 / 国際情報交換(アメリカ) / 国際情報交換(ノルウェー) |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、社会統制が犯罪行動に与える影響とその意図せざる結果における理論的かつ実証的研究を行うことである。目的を達成するために、以下4つの研究課題に取り組んだ (1-3は昨年度からの継続、4は今年度から着手)。
(1). 医療大麻合法化(Medical Marijuana Laws 以下MML)が犯罪に与える影響を検討した研究では、地理的データの使用、推定方法の拡張を行った。昨年度得た結果に加え、MMLが犯罪に与える負の効果は、メキシコ国境から離れた群になるほど小さくなるという結果を得た。本研究は、国際的学術雑誌からの修正・再提出の審査結果を受け、現在再提出に向け修正中である。 (2). 暴力団排除条例が暴力団の勢力や犯罪に与える影響を検討した研究では、各都道府県警より暴力団組員数の推移データを入手、警視庁の公開データより暴力団員の逮捕に関する区別パネルデータを作成した。これらのデータを用いて、昨年得た結果のメカニズムの検証を行った。本研究は、国際的学術雑誌への投稿準備を進めており、4-5月中に投稿予定である。 (3). 因果推論の方法論の研究は、観察データを用いた社会学における因果推論の応用・実践を示唆することを目的とする。本研究は、パネルデータを用いて因果関係を推定する際に誤りがちな点を指摘し、適切な推定や内生生チェックのプラシーボテストなどを実証例と共に説明し提示する。 (4). 本研究は、違法薬物市場おける人種間の収入格差を分析する。アメリカのNLSY97データを用いて、ギャング参加が薬物売人の収益率に与える影響は人種間で異なるかを推定した。ギャング参加の違法収入に与える影響は白人のみに存在することが明らかとなった。また、このメカニズムの検証も同じデータを用いて行った。本研究は、国際的学術雑誌への投稿準備を進めており、6-7月中に投稿予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題(1-2)では、制度が犯罪に与える影響とその意図せざる結果という課題に対し実証分析を行うことができた。さらにその意図せざる結果となる背後にあるメカニズムも計量分析を通じて明らかにした。この2つの研究より犯罪組織がいかに収益を求める集団であるかを理解し、このプロセスで「個人の犯罪組織への加入は収益増加につながるのか」という新たな課題が見つかり、研究課題(4)の着手に至った。これらの研究課題を計量分析を通じて厳密に実証することができたのは、研究課題(3)により、因果推論を行う際に必要な仮定や推定方法の応用を学ぶことができたためである。
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題(4)の結果より、「違法市場における人種間格差」という新たな研究課題が見つかった。今後は、アメリカにおける刑事司法政策が違法市場における人種間格差や違法収益率にいかなる影響を与えるかを検討したいと考えている。同時に、歴史制度が現代の組織犯罪の活動や違法市場に与える影響も検討していきたいと考えている。
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Research Products
(3 results)