2014 Fiscal Year Annual Research Report
環境政策による国際間の技術格差是正と経済厚生改善の効果に関する分析
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14J05115
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
澤田 有希子 大阪大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 国際貿易 / 企業集積 / 租税競争 / FDI |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は環境汚染および技術改善の観点から以下の2つの研究を行った。 まず1つは、汚染と環境税の貿易や企業集積にもたらす影響を理論モデルを構築し分析を行った。研究方法として、汚染の影響を分析に取り入れる必要があることから、二国貿易モデルに消費者が汚染物質から不効用を受けることを組み込み、各国政府による炭素税競争を解くことによって、均衡で実現される税率、企業の集積への影響を明らかにした。均衡で実現される炭素税の水準や企業集積パターンは財間の代替の弾力性の度合いによって特徴づけられることが分かった。また、この研究は論文としてとりまとめ、国内外での学会において報告を行った。 もう一つは、人的資本が技術水準に影響をもたらす状況下でのFDIへの影響についても理論モデルを構築し、分析を行った。この研究では近年急速な経済成長を続ける新興国市場への海外展開が注目されていることに着目し、この事象に対し企業の戦力決定と人的資本の蓄積という観点から一つの理論的解釈を試みた。構造的特徴としては汎用性のある高い能力を持った労働者は直接投資先にマネージャーとして派遣された場合において、生産コストを低下させることができるとした点である。労働者はそうした能力を費用を支払って獲得し、企業はその人的資本の蓄積水準をみて、国内生産か直接投資かを決定して生産をおこなうという2段階ゲームで労働者と企業の意思決定の関係を分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究テーマに従って、環境汚染と集積の関係性、また技術改善と貿易戦略に関する2つの研究を行うことができた。また、予定していた国内および国外の学会等で成果を発表し、論文の改訂に非常に有益な機会を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこれまで行った研究を精査し、完成させ、ディスカッションペーパーとして、公表することを目的とする。また、学術誌への投稿を行い、掲載を目指す。さらに、これまでの研究を発展させ、貿易政策などの政策的含意により深く踏み込んだ研究を行う。
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Research Products
(4 results)