2014 Fiscal Year Annual Research Report
新しい発癌機構であるChromothripsisの機序の解明
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14J05209
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
森下 真紀 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | chromothripsis / ゲノム再構成 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで発がんは多段階発癌説、即ち、遺伝情報であるDNAへの長期間に渡る段階的な変異の蓄積によって生じると考えられてきたが、近年この概念とは全く異なる新しい発がん機構のひとつとしてChromothripsisという概念が提唱されている。Chromothripsisとは、一回の染色体の粉砕に起因した、一度に数十から数百もの遺伝子変異が生じる現象であり、ほぼ全ての癌種において2~3%起こっていることから、あらゆる臓器由来の発癌において共通した要因であると考えられている。また、Chromothripsisは癌の予後不良因子であることも示唆されている。しかしながら、Chromothripsisの発生機序については、未だ殆ど解明されていない。そこで本研究は、放射線照射によってChromothripsisが人為的に誘発可能かどうかについて検討を行った。 本年度は、chromothripsisを誘発させるモデル細胞として選別した二種類のがん細胞株単一コロニー由来のペア細胞親株・亜株に対し、マイクロビーム細胞照射装置SPICEを用いて電離放射線局所照射を行いDNA二重鎖切断を誘発した後、多数のモノクローナル細胞株を樹立した。樹立したモノクローナル細胞株に対してarray CGH解析を行った結果、LM200-#25という株において、7番染色体上にchromothripsisに特徴的なコピー数異常を検出し、更に細胞遺伝学的解析から複数の転座等の変化を確認した。今後、LM200-#25に関して、次世代型シークエンサーによる全ゲノム領域DNAシークエンスによる解析を行い、chromothripsis領域の再構成部位の塩基配列を決定しDNAのrearrangementという現象の生成機構を明らかにしたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでにchromothripsisを誘発させるモデル細胞として選別してきた二種類のがん細胞株単一コロニー由来のペア細胞親株・亜株に対して、本年度は、放射線医学総合研究所との共同研究のもと、マイクロビーム細胞照射装置SPICEを用いて電離放射線局所照射を行いDNA二重鎖切断を誘発した後、多数のモノクローナル細胞株の樹立を行った。樹立した細胞株の中から、Chromothripsisが生じている可能性の高い細胞株として、アレイCGH解析やFISH法等の解析からLM200-#25という細胞株を選別するに至った。 これは当初予定していた年次計画を達成しており、自己評価としておおむね順調に進展したと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
放射線照射後に樹立したモノクローナル細胞株のうちの1株であるLM200-#25において、7番染色体に複雑な染色体構造変化が誘発されたことが確認された。しかし、この染色体構造変化がChromothripsisに起因したものであるかどうかについては未だ不明である。そこで、LM200-#25においてChromothripsisが生じているかについて、Whole genome sequencingを行い検討する方針である。
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Research Products
(3 results)