2014 Fiscal Year Annual Research Report
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14J05350
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
多鹿 智哉 神戸大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 地方交付税 / 社会厚生関数 / 地方財政制度 / 署名運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はまず、日本の地方財政制度と社会厚生関数のウェイトの関係について研究を行った。本研究では地方交付税の額から日本の中央政府が各都道府県においているウェイトを逆算し、日本の地方財政制度への評価を与えることを目的としている。本研究によって、中央政府が各都道府県におくウェイトが人口に比例することを示した。またこのウェイトを人口で割ったものが国会議員選挙の一票の価値と相関があることを示した。この結果は都道府県間の交易が存在しないもの仮定して得られたものであるが、今年度はこの結果を都道府県の交易が存在するケースにも拡張した。その結果として得られたウェイトも各都道府県の人口と比例していることを示した。それだけでなく、2005年度以降の社会厚生関数のウェイトは各都道府県の財政赤字との間に負の相関関係が存在することを示した。この現象は2005年度以前には観察されず、2005年度以降に顕著な結果である。 これらの研究成果を学術論文にまとめ、英文国際誌 Journal of the Japanese and International Economies に投稿し、掲載受理された。 次に、署名集めを必要とする直接請求についての研究を行った。本研究ではある法律を廃止するための署名運動を動学ゲームとして記述し、そのゲームの均衡として得られる結果が、その法律の賛成派と反対派のどちらに有利であるかということを検討した。本研究によって、署名すること自体にコストがかからない場合では、署名運動が成功する確率は賛成派が多数の場合には0であり、また反対派が多数の場合でもその確率は法律の評価値の下限の増加関数であることを示した。この結果を論文にまとめ、国際学会 Association for Public Economic Theory Annual Conference において報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本の財政制度と社会厚生関数のウェイトの関係については、当初の予定通り、今までの研究成果を都道府県間の交易が存在する場合についても拡張した。またこの研究成果は英文国際誌にも掲載受理されたからである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として、署名運動の研究については、今までに得られた研究成果をもとにして、望ましい署名運動の制度を検討することである。 また今までの研究成果を論文にまとめ投稿する。
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