2015 Fiscal Year Annual Research Report
薬剤耐性菌の耐性分子機構に基づいた迅速鑑別法の開発と評価
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14J05455
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
横山 覚 名古屋大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 薬剤耐性菌 / 薬剤耐性機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、1)大腸菌ライブラリーの構築、2)精製した酵素の評価、3)酵素学的性質の評価、4)阻害剤のハイスループットスクリーニング系の構築を実施した。 1)1年目に作製した野生型酵素を産生する大腸菌を用い、部位特異的変異導入法により変異体酵素を作製した。2年目では、既報において阻害剤抵抗性の原因として示唆されていたものとは異なるアミノ酸について変異体酵素を作製した。 2)精製した酵素に対してN末端アミノ酸シーケンスを実施した。N末端アミノ酸シーケンスの結果、精製したタンパク質のN末端5アミノ酸は予測された配列と一致し、精製したタンパク質がOXY-型ベータラクタマーゼであることを確認した。また、精製した酵素溶液を動的光散乱法で評価した。 3)OXY-型ベータラクタマーゼの阻害剤抵抗性の原因を明らかとするために、ベータラクタム薬およびベータラクタマーゼ阻害剤に対する酵素学的性質を他のClassAベータラクタマーゼと比較した。これらClassAベータラクタマーゼに関しても、OXY-型ベータラクタマーゼと同様にして精製した。 4)新たなベータラクタマーゼ阻害剤を見出すために、ハイスループットスクリーニングを計画しスクリーニング系を構築した。基質としてニトロセフィンを選択した。OXY-型ベータラクタマーゼ、ニトロセフィン、種々の化合物との存在下で酵素活性を阻害する化合物をスクリーニングする。そのために酵素の濃度、基質の濃度、阻害剤の濃度などの条件設定を行い、スクリーニング系の最適化を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目に計画していた研究計画を一部変更して実施した。2年目に計画していた実施項目に関して現在も検討を重ねている項目もあり、一部研究計画の遂行が遅延している。一方で、最終年度に予定していた新規阻害剤の候補検索に着手しており、その点においては当初の計画より先んじて研究を遂行できており、研究は概ね当初の研究計画通りに進行している状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
酵素学的、構造学的手法を用いて、OXY-型ベータラクタマーゼの評価を継続する。さらに、ハイスループットスクリーニングによる新規阻害剤の探索を行う。探索した阻害剤を用いて新規検査法を確立する。さらに得られた成果をまとめる。
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