2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14J05792
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岸本 沙耶 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | ストレス耐性 / 寿命 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、後天的に獲得した形質がDNA変異を伴わずに次世代へと継承されることが報告され始めている。しかしながら、その詳細な分子機構については未だ明らかになっていない。本研究では、環境ストレスにより誘導される形質の変化が世代を越えて受け継がれる分子メカニズムの解明を目的としている。ストレスは高濃度では有害となる一方で、低濃度で用いると個体のストレス応答が活性化されて生存力が向上することが知られている。本年度の研究において私は、線虫に種々のストレスを与えて飼育することにより有益な効果がみられるのかを調べた。次に、与えるストレスの濃度条件の検討を行い、最もフェノタイプが大きく表れる濃度を決定した。また、ストレスを与えることで生じる発生スピードや体長の違いが、その有益な効果に関与しているのかを検討した。さらに、ストレスを与えた親世代から産まれた子世代の線虫を、非ストレス条件下で飼育したのち、親世代でのストレスへの曝露が子世代にどのような影響を及ぼすのかについて検討した。また、その子世代から産まれた孫世代についても形質が受け継がれるのかを調べた。さらに、オス親にのみストレスを与えた場合には、その子世代の線虫においてどのような影響がみられるのかを検討した。それらの研究結果から私は、ストレスを受けた親世代の核内でエピジェネティックな変化が生じ、それが世代を越えて受け継がれるのではないかと考え、形質の継承を担っているヒストン修飾因子を探索した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究より、環境ストレスによる獲得形質が世代を越えて継承されることや、その継承にエピジェネティックな変化が関与していることを示唆する結果が得られており、研究の進捗状況はおおむね想定していた通りであると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、親世代においてストレスを与えたときに核内で誘導されるエピジェネティックな変化についてより詳細な解析を進めるとともに、世代を越えてその変化を維持するために機能する因子の同定を試みる。
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