2014 Fiscal Year Annual Research Report
半乾燥熱帯アフリカにおける養水分動態の最適化と増収に資する農業技術の確立
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14J06313
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西垣 智弘 京都大学, 地球環境学堂, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 水食 / 養水分動態 / 作物残渣 / タンザニア / 半乾燥熱帯アフリカ |
Outline of Annual Research Achievements |
半乾燥熱帯に位置する東アフリカでは、水食と溶脱による養水分損失が作物収量の低下を引き起こしており、その抑制技術の構築は喫緊の課題となっている。そこで、本研究では、養水分動態を最適化する有機物施用技術を確立するため、タンザニアの2圃場(粘土質土壌・砂質土壌)において、トウモロコシ残渣を用いた異なる施用方法(すき込み区、表面散布区)の処理区を設け、トウモロコシの栽培試験を行った。 まず、土壌呼吸速度を定期的に測定し、施用した残渣の分解量を推定した。その結果、粘土質サイトでは表面散布を行うことで、すき込みよりも分解率が24%抑制できる一方で、砂質サイトでは添加方法による分解率の顕著な違いがないことが明らかとなった。 また、作物生育期間中、表層土壌(0-30cm深)中の無機態窒素量を定期的に測定した。その結果、粘土質サイトでは、表面散布区に比べてすき込み区において顕著な無機態窒素量の増加が観察されたが、砂質サイトでは、すき込み区に比べて表面散布区において顕著に無機態窒素量が増加した。土壌水分も水分センサーによって継時的にモニタリングを行った。その結果、粘土質サイトでは、表面散布区においてすき込み区に比べて高い水分含量で推移したが、砂質サイトでは両区に差は見られなかった。 作物収量は、表層土壌中の無機態窒素量に対応して、粘土質サイトではすき込み区のほうが表面散布区よりも収量が高く、砂質サイトでは表面散布区のほうがすき込み区よりも高かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通り、栽培試験を行い、想定していた結果を得られている。 しかしながら、多雨年の結果を得るために灌漑を行っていたが、今季も非常に雨が少なく、灌漑量も多雨年の降雨量に足りるほどの量を確保することが出来なかったので、これまでに得られた結果を少雨年との対照的な降雨量として考察を進めることは慎重に検討する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
安定同位体によって標識したトウモロコシ残渣を施用し、残渣の分解に伴って放出された養分の作物への移行量を、土壌型・施用法ごとに解明する。 少雨に対する対策として、引き続き灌漑を行い、栽培試験を実地する。
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Research Products
(4 results)