2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14J06854
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
寺田 聖 北海道大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | IL-17 / Dendritic cells / Antigen presentation / MHC / Cytokine |
Outline of Annual Research Achievements |
がんの微小環境においてγδT細胞が産生するIL-17が血管新生や腫瘍増殖の促進を介してprotumor因子として作用することを明らかとした。しかし、IL-17が直接的に担がん生体の抗腫瘍免疫を負に制御しているか否かについては未だ明らかにされていない。そこで本研究では、抗腫瘍免疫において重要な役割を果たす樹状細胞(DC)に着目し、そのIL-17による影響を検討した。 マウス骨髄細胞より誘導したDCへのIL-17による前処理後にLPSで刺激し、培養上清中のIL-12、TNF-α、IL-6の産生についてELISAを用いて測定した。その結果、IL-17の濃度依存的に上記サイトカインの産生が抑制された。本現象は、細胞内サイトカイン染色法や定量的PCRによる遺伝子発現解析法においても確認され、またLPS以外のtoll-like receptorリガンド刺激においてもIL-17による抑制が同様に確認された。次に、DC表面分子の発現解析を行ったところ、IL-17前処理群においてLPS刺激に対するMHC classⅡ、CD40、CD86の発現が有意に抑制された。さらに、IL-17前処理後にLPSで刺激したDCとOVA特異的T細胞を、OVAタンパク質あるいはOVAペプチドを抗原として共培養したところ、T細胞からのIFN-γ産生量が減少した。さらにマウス生体内にIL-17を過剰発現する腫瘍をi.p.し、1週間後の腹腔内DCについて解析したところ、骨髄由来DCと同様の現象が見られた。また、ヒト末梢血より誘導したMonocyte-derived DC (MoDC)をIL-17での処理後にLPSで刺激したところ、マウスと同様に活性化抑制作用が確認された。 以上の結果より、IL-17は樹状細胞のTLRリガンド刺激による活性化に伴うサイトカイン産生およびMHCや共刺激分子の発現上昇を抑制し、T細胞活性化能を負に制御していることが明らかとなった。この現象がマウスだけでなくヒトでも確認できたことで、今後さらに詳細な作用メカニズムを解明することにより、実際に臨床応用への発展が可能であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では、研究初年度において、マウス実験系を基軸とした解析を実施し、樹状細胞の機能制御におけるIL-17の検討を実施する予定であったが、今年度の研究の実施によりヒト樹状細胞の機能においてもIL-17が重要な作用を有することを見いだすとともに、マイクロアレイの結果から幾つかの有望な候補因子を見いだしたことから、当初の計画以上に研究が進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた研究成果をもとに、今後IL-17による樹状細胞の機能抑制因子の探索と同定を実施する。具体的には、IL-17処理したマウスあるいはヒト樹状細胞のマイクロアレイの結果を検証し、IL-17の下流分子として変動する候補因子について、さらに詳細に遺伝子レベルおよびタンパク発現レベルにて解析を行なう。ここで、既知のTLRやIL-17シグナルカスケードに関連する因子についても比較コントロールとして検証を行なう。 これらの候補因子について、各種ノックアウトマウスや阻害剤、中和抗体などを使用し、in vivo生体レベルでの作用効果を検討する。以上の研究成果を元に、IL-17シグナルカスケードを基軸とした新規樹状細胞の制御メカニズムの解明とともにがん・免疫関連疾患治療法開発に向けた基礎検討も実施する。
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Research Products
(7 results)