2015 Fiscal Year Annual Research Report
幼児期の社会関係と社会的認知能力との関連:単胎児と双生児の比較研究
Project/Area Number |
14J07108
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
野嵜 茉莉 慶應義塾大学, 文学部, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
|
Keywords | 双生児 / 幼児 / 社会性 / 実行機能 / 養育態度 / 育児ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,双生児・単胎児の双方を対象にして,幼児期のきょうだい関係・親子関係と社会的認知能力との間の因果関係を明らかにすること,また,社会関係及び社会的認知能力の発達的変化を明らかにすることを目的としている。本年度の成果は,以下の2点である。 1.3~5歳の単胎児を対象に実行機能を測定した。また,保護者を対象に養育態度・育児ストレスを測定した。この研究から,親が権威を示しながらも子どもの自立を支援するような指導的な養育の側面が幼児の実行機能と関連が強く,実行機能の発達に重要な役割を果たしていることが明らかになった。また,子どもの特徴に由来する子育てにおける困難感の高さと実行機能の低さとの関連が示された。以上の成果について,国内学会で発表を行った。 2.幼児期の双生児・単胎児双方の父親・母親における育児ストレスの様相を明らかにするため,質問紙調査を実施した。本年度は,3歳半又は,5歳の子どもを持つ父親・母親を対象にwebによるアンケート調査を実施し,過去に収集した双生児のデータとの比較を行った。親であることのストレスについて,父親よりも母親が有意に高かった。また,子どもの特徴に関するストレスについて,一人っ子が高いこと,二卵性双生児は単胎児の第2子以降群に比べると高いことがわかった。単胎児のデータを追加すると,双生児の親の育児ストレスは単胎児の親と比べて高いとは言えなかった。先行研究とは一致しない結果となったが,双生児の家庭では,父親と母親の育児協力が必然で,育児ストレスを高めない機能を持つのかもしれない。また,一人っ子の親の育児ストレスが幼児期後半になっても低下しないことが明らかになった。比較対象となる子どもが他にいないことで,育児不安が軽減されないのだろうと考えられる。以上の成果について,国内学会で発表を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的に沿って,幼児期の双生児・単胎児双方の親子を対象に計画的にデータ収集を実施している。得られたデータに基づいて,幼児期の双生児・単胎児の社会性の発達について実証的な知見を得ることに成功している。また,得られた研究の成果は,学会において積極的に発表されている。
|
Strategy for Future Research Activity |
双生児の縦断データが収集されているため,4歳時点のきょうだい関係・社会的認知能力についてのデータ分析を実施し,これらについて発達的変化を明らかにする。また,本研究課題の最終年度にあたり,これまで得られた成果に関して,論文を執筆し学術誌に投稿する。
|
Research Products
(7 results)