2014 Fiscal Year Annual Research Report
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14J07619
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
王 凱 東北大学, 東北大学医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | magnetoencephalography / lateralization / functional asymmetry / pitch perception |
Outline of Annual Research Achievements |
ピッチ処理は、大脳半球の左右どちらで優位であるか明らかではない。本研究では、ピッチ処理に関わる聴覚誘発反応N100mを脳磁図により計測した。はじめに心理実験として健康な右利き日本語母語話者169名を対象とし、ミッシングファンダメンタルの音を聞かせピッチ認識ができているかを評価した。ピッチ認識可群とハーモニクス認識可群として各9名の被験者を抜粋した。脳磁図計測において刺激音は、心理実験の結果、弁別が最も良い組み合わせである931Hz, 798Hz, 665Hzの混合音を用いた。ピッチ認識可群は左半球のN100m信号強度33.21±12.73 nAm(平均±標準偏差)、右半球N100mの活動強度64.80±23.70 nAmと統計的に有意に右が大きく(F1,17 = 40.96, P < 0.0001)、一方、ハーモニクス認識可群は右半球N100mの活動強度32.43±7.50 nAm、左半球48.83±8.76 nAmと左が大きかった(F1,17 = 11.89, P < 0.005)。群間比較として左半球では、ピッチ認識可群よりハーモニクス認識可群大きく(F1,17 = 4.37, P < 0.05)、一方、右半球では、ピッチ認識可群が大きかった(F1,17 = 21.47, P < 0.0001)。群内と群間の交互作用の結果は、二つの群のタイプと左右半球の活動強度の交互作用に有意差を示した(F1,17 = 48.50, P < 0.0001)。過去の研究より、音の複雑な変化を分析するのは左半球優位であり、音の周波数成分の分析に対するのは右半球優位であると言われている。ピッチ認識可群は、ミッシングファンダメンタルの音の中に存在しないピッチの周波数を計算してピッチを認知し、ハーモニクス認識可群は、周波数成分を音色としてそのまま認識するといった認知過程の違いが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度の学業成績も優秀で、脳研究も活発に遂行した。研究実施だけではなく、技術の学習と革新も進んでいた。理学部数学専攻で勉強した数理知識に基づき、音を作る必要な音声工学の活用や、精確的時間制御系統の開発などに精通していて、それらを解決する為のアドバイスができるスキルも持っていたことより、順調に実験を実施する必要な技術を全部解決した。また、世界最先端技術である脳磁図の解析技術を勉強していた時に、自分の新しい発想を提案し、本研究室の脳磁図装置の製造元横河電機株式会社へ技術提供していた。これらのことより、基礎科学者としてだけではなく、最先端の技術開発領域での活躍にも進んでいた。アウトリーチ活動にも積極的に参加し、中国語・英語・日本語の多言語で自分が勉強した科学技術を後進に伝授していた。 上記のことより、脳科学基礎研究では、169人の心理実験と32人の脳磁図実験を全部順調に完了した。結果は、ファンダメンタルの認知能力が強い被験者とハーモニクス成分の認知能力が強い被験者では、ピッチ認知に関連するN100mの聴覚誘発反応が異なることを世界で初めて明らかにした。また、世界的に知られたPMOD社PMODソフトウエアに私が開発したソフトウエアが取り込まれる予定であることより、産学連携の経験を頂いた。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の研究結果より、音を聞いている時に、二つの種類のピッチ認知脳活動の基盤を明らかにしたことによって、今後の研究の推進方策は、言語・音楽の音調の処理、言語・音楽認知及び今まであまり研究してない音質の認知に関する神経基盤を明らかにする予定である。昔の全ての先行研究は、被験者を分類していないままで、言語及び音楽の研究を無理矢理にやった。本研究で明らかにした結果より、昔に解明した神経基盤は信用できていないと分かった。そこで、未知の扉を開くために、今後の研究では、被験者を分離したうえで、言語と音楽の認知基盤をより一層解明する予定である。
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Research Products
(2 results)