2014 Fiscal Year Annual Research Report
プライバシー情報の利用と保護を両立する参加型センシングの研究
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14J08828
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
青木 俊介 東京大学, 情報理工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 参加型センシング / プライバシー保護 / モバイルセンシング / モバイルコンピューティング / クラウドセンシング / データ摂動 / ランダム回答法 / 否定解調査法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、センサ情報の個人利用を可能とする統合的プライバシー保護手法を提案し、ユーザのセンシティブ情報を他者に開示する必要のない参加型センシングを実現することを目的とする。本研究の遂行により、冗長なセンシング・通信を行うことなく、同一センサ情報を様々な用途で安全に活用するシステムの構築が可能となる。 センサ情報の個人利用を可能とする統合的プライバシー機構の実現のために、本研究ではセンサ情報の取得から利活用までを3段階に分けて、手法の提案・設計・開発を行う。本手法の利用によって、一般ユーザは、センシングに参加するコミュニティ全体の統計的な情報と、ユーザ自身の情報の比較を行うことが可能となる。 本年度の研究では、(i) ユーザ側でのプライバシー情報保護機構・アルゴリズムの提案・設計、(ii) プライバシー情報利活用に関する社会的受容性のリアルタイム調査のためのユーザインターフェースの開発、の2つを行った。(i)の研究においては、参加型センシングで扱う多次元データの性質に着目し、各センサ情報の関係性を保持したままプライバシー情報を保護するランダム回答法(Multidimensional Randomized Response)の開発・拡張を行った。また(ii)の研究では、プライバシー情報の利活用機構の開発には一般ユーザのリアルタイムな社会的受容性の調査が必要不可欠であることを踏まえ、Android OSを用いたユーザインターフェースの設計・開発を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は当初の予定通り順調に進んでおり、通信工学の世界トップレベルの国際会議ICC 2014で登壇発表を行った上で、IEEE Transactionへの論文投稿(現在査読中)を行うなど、外部への成果発表を着実に行うことができている。 特に、本研究の3段階のプライバシー保護手法のうちの1つである「データ特性を基にした簡易な計算によるプライバシー保護手法の提案と評価」の研究では、国際会議での発表と国内学会での招待講演の後に、国際共同ワークショップで発表を果たす等、国内外から高い評価を受けている。 また2014年度の研究では、実社会で求められるプライバシーレベルの要求を調査するために、当初の予定にはなかった、リアルタイムな社会的受容性調査のためのユーザインターフェースの設計・開発を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、ユーザ個人でのプライバシー情報の利活用を可能にするシステム・アルゴリズムの開発を目的として、Secure function evaluationの手法を本研究に拡張・適用する。このために、米国の大学との国際共同研究を行う予定である。本国際共同研究を推進することで、Secure function evaluationに関する知見を得られる。
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Research Products
(8 results)