2014 Fiscal Year Annual Research Report
フラッシュメモリ構造をトップゲートに用いた伝導型制御グラフェントランジスタの開発
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14J09191
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
朴 君昊 東北大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 溶液法 / 絶縁膜 / トランジスタ / 移動度 |
Outline of Annual Research Achievements |
フラッシュメモリのゲートスタック構造を用いた閾値制御をグラフェントランジスタにおいて実現することを目標に、グラフェンにダメージを与えずに高品質のゲート絶縁膜を形成する研究を行っている。本年度は、ダメージの少ないゲート絶縁膜形成法方として有力な溶液法を用い、様々な成長条件の最適化を実施した。その結果、300℃以下の絶縁膜形成温度でグラフェンにダメージを与えずに10nm程度の非常に薄い絶縁膜を形成できることを見出した。さらにこの溶液法に、酸素プラズマ処理と自然アルミナシード層形成を適用すること(改良溶液法)により、誘電特性に優れ、かつ、グラフェンにダメージとドーピングを与えない絶縁膜の形成に成功した。ラマン分光の結果、200~250℃の形成温度においてドーピング量がほぼ電化中性状態になり、また、電気特性測定の結果、250℃2時間のアニーリングで最も高い誘電率を示すことが明らかになった。 この結果を基にMOS(Metal-Oxide-Semiconductor)構造のグラフェントランジスタを製作し、移動度およびDirac point位置を測定した。その結果、250℃2時間アニーリングで作製したゲート絶縁膜を有するデバイスは8400 cm2/Vsという非常に高いチャネル移動度を示した。またDiracpointは0.2Vとほとんど0Vに近く、実質的ドーピングも生じていないことを確認した。すなわち、溶液法をシード層形成と酸素プラズマと併せて用いることにより、250℃という低い形成温度にも関わらず、グラフェントランジスタの電気特性の劣化なく高品質な絶縁膜形成することに成功した。 以上、本研究で開発した改良溶液法を用いることにより、既存の絶縁膜形成方法のようなグラフェンダメージが発生せず、電気特性の劣化のない高品質なゲート絶縁膜をグラフェン上に形成できることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の第一目標は、グラフェンの上にダメージと電気特性の劣化なし、高品質な絶縁膜を形成することであった。既存の溶液法をグラフェンのゲート絶縁膜の創成を目指し、酸素プラズマとシード層を用いることでグラフェンの優秀な特性を保存し、かつ、高品質な絶縁膜を得られることを明らかにした。また、この絶縁膜を用いて製作したデバイスは非常に高い移動度とゼロに近いDirac pointを示したことで、おおむね 研究は順調に進展しているということができる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度開発した方法により得られるゲート絶縁膜は、グラフェンの固有特性を保存しながら高品質な絶縁膜を形成することから、当初の目的を達成しているといえる。今後はこの絶縁膜の上にトラップ層、ブロッキング層とゲート金属の種類による動作特性を評価してメカニズムの分析を実施する。また、トランジスタ自体の特性を向上するため、再現性よく安定的に接触抵抗を低減する方法を確立する。
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Research Products
(2 results)