2014 Fiscal Year Annual Research Report
外国語読解能力における明示的および暗示的言語知識の役割
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14J10180
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
草薙 邦広 名古屋大学, 国際開発研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 明示的知識 / 暗示的知識 / 潜在構造モデル / 読解能力 / 構成技能アプローチ / 構造方程式モデリング / 文法処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,外国語の読解における明示的ないし顕在的,および暗示的ないし潜在的な言語知識の役割をあきらかにすることである。明示的知識とは,一般に,演繹的な学習によってもたらされ,分析的で,遅く,意図的な言語運用を司るとされる。一方の暗示的知識とは,母語話者の言語運用に典型的なように,流暢でよどみない,自然な言語運用を可能にするとされている。しかし,このような二種の言語知識と,実際の言語運用の関係性については,未だにそのメカニズムがあきらかではない。 そこで,そのメカニズムを解明する足がかりを得ることを目的にした一年目は,第一に,明示的および暗示的知識の測定法についての調査に取り組んだ。心理統計や言語テスト理論を背景として調査を進めた結果,明示的および暗示的知識を,さまざまな変数による複合的な潜在構造としてとらえる必要性があることをあきらかにした。 また,明示的および暗示的知識と学習者がもつ固有の特性,そして言語的要因と明示的および暗示的知識の習得可能性についての検討をおこなった。学習者がもつ固有の特性として,文法的慎重性という概念を提唱し,その測定具の開発をおこない,公開した。また,言語的要因については,(a)形容詞の語順,(b)概念数,(c)単純形副詞といった言語的現象を題材に,心理言語学的手法をもちいた実験をおこなった。さらに,次年度の全段階として,独自の読解テストの開発をおこなった。 ここまでの研究内容は,年度内に国内外の学会で発表され,論文として刊行された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画全体における予備的検討については満足のいく結果が得られたが,手法上の検討に労力を割いたため,本実験についての実施をおこなうことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,計画の主要部分に取り組む。独自に作成した読解テストおよび文法性判断課題を中心とした明示的および暗示的知識のテストバッテリーをもちいてデータ収集をおこない,構造方程式モデリングをもちいてデータを分析する。
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[Journal Article] Foreign language grammatical carefulness scale: Scale development and its initial validation.2015
Author(s)
Kusanagi, K., Fukuta, J., Kawaguchi, Y., Tamura, Y., Goto, A., Kurita, A., & Murota, D.
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Journal Title
ARELE
Volume: 26
Pages: 77-92
Peer Reviewed
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