2014 Fiscal Year Annual Research Report
ネットワークリスクの動的変化と避難行動チェインの解明
Project/Area Number |
14J10821
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浦田 淳司 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
|
Keywords | 避難行動 / 最適制御 / 人的ネットワーク / 相互作用 / リスク / 動的離散選択 / 最大値原理 |
Outline of Annual Research Achievements |
リスクの動的変化と避難行動チェインの記述を行った.リスクの動的変化の記述のため,将来行動の予測を考慮した動的離散選択モデルの構築を図った.また,将来行動の予測・将来リスクの回避にあたっては,行動時間の記述が必要である.そこで,活動継続時間を可変化させた動的選択行動の定式化を行った.また,避難以外の選択肢を近距離目的地/遠距離目的地と設定し,活動時間とあわせた避難行動チェインの構築を図った.これらにより,小規模の都市における避難時の時間帯別OD表を得ることができる. 災害時のネットワークの動的変化とその影響についての記述を行った.集落全体の状況からの影響を考慮したネットワーク形成モデルの構築を行った.その際には空間的特徴の類似を考慮するために誤差項の相関を導入した.また,他者の避難選択が与える影響を評価するため,local interactionを考慮した避難開始選択モデルを構築した.これにより,高齢者の非避難により避難選択されにくいこと等が定量化でき,事前インタラクションの形成ルール構築への示唆が得られた. 避難交通流の動的ネットワーク配分を行った.情報の認知構造を仮定した動的ネットワーク配分を行い,一方通行制御による避難完了時刻への影響を明らかにした.災害避難時の旅行時間情報認知による混雑への影響を明らかにした.また,交差点部の流出入制御については,完了時刻が固定されていない場合も計算可能である最大値原理を用いた最適制御の定式化を行い,容量制約と避難時混雑の関係を明らかにした.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リスクの動的変化の記述については,基本的な定式化と次期避難を仮定したシンプルな計算と行動シミュレーションまではできている.さらに,時間軸の部分についての記述の精緻化を図るために,活動継続時間の表現を追加している.これについては,将来期待値の計算が複雑になるが,MPEC型の計算方法により解決する.活動継続時間の表現の部分は想定した以上に進展している. ネットワークの動的変化の解明は,モデルの構築・説明変数の充実化といった部分は想定通り進展している.また,人的ネットワークの具体の影響を評価するためにlocal interactionを導入した避難開始選択モデルを構築した.これにより,ネットワークの特性による影響を定量化することができた.この部分は想定していなかった内容であり,期待以上に進展している. 行動チェインの記述については,活動時間と目的地(遠方・近傍)を設定したモデルをリスクの動的変化とあわせて行っている.具体の目的地選択については導入できておらず,課題となっている.陸前高田市における日常行動と人的ネットワーク,目的地選択に関する調査は,現在詳細の企画を行っているところであり,やや遅れている. 動的ネットワーク配分については,情報の認知による動的交通流の変化についての記述と一方通行制御の影響を明らかにした.避難時混雑と容量の関係を記述するため,交差点の動的制御モデルを構築した.完了時刻未定の状況でも計算可能な最大値原理を導入し,定式化した.避難時においては交通流の記述とともに制御が必要であることをレビューからも明らかにしたうえで,従来にない理論導入の提案を行っている.理論部分については,想定していなかった内容であり,順調に進捗している.
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでに行ってきたリスクの動的変化,人的ネットワークの動的変化に関するモデルを用いて,具体の対策評価を行う.また,両者を統合することで行動チェインの評価可能なモデルを構築し,実道路ネットワーク上での評価を行う.また,実道路ネットワークでの評価のために,目的地選択モデルを陸前高田市の避難行動データより行う.また,陸前高田市において実施する調査により,これまでに検討した人的ネットワークの動的変化のモデリングが日常の行動についても適用可能であるかを実証(又は適用可能な形に更新する)し,より一般的なモデル構築を図る. 動的ネットワーク配分については,現在は1交差点での動的流入制御のモデル化までを行っており,今後は複数交差点での動的流入制御のモデル化を行う.モデルをシミュレーションモジュールとして組み込み,情報認知とあわせて,実道路ネットワーク上での計算と施策評価を行う.
|
Research Products
(4 results)