2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14J11122
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山下 大地 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | アンモニア処理 / 酵素糖化 / ヘミセルロース / リグニン / モイレ呈色反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
リグノセルロース系バイオマス、すなわち植物を原料とした高効率酵素糖化には試料の前処理が必須であり、アンモニア処理は有効な前処理法の一つとみられている。本研究は顕微鏡観察を中心として、細胞壁構成成分の局在を調べることでアンモニア処理の影響を調べることを目的としている。 今年度はその一環として、エリアンサスを始めとする草本系バイオマスに対するアンモニア処理の影響について、データの解析を行った。それにより、高純度の精製セルロースと草本や木本中におけるセルロースでの酵素糖化性の違いを確認し、リグニンやヘミセルロースの存在が糖化性に大きく寄与していたことが確認された。また、アンモニア処理切片への間接抗体染色法による各種細胞壁成分の局在観察が非常に効果的であるとの確証を得た。 本研究で中心となる木本植物へのアンモニア処理の影響であるが、今年度はシラカンバを対象にアンモニア処理を行い、細胞壁の化学的、物理的な影響に関してのデータを集め、解析を進めた。また、キシランを始めとする細胞壁成分を特異的に分解する酵素を入手することができたため、今後はアンモニア処理後のシラカンバ酵素糖化残さを観察し、細胞壁構造に関する知見を得たい。 前処理の評価においては脱リグニンの観察も重要である。リグニンの検出方法の一つにモイレ呈色反応があるが、これはシリンギルリグニンの検出法として従来用いられていたが、退色が早いという欠点が指摘されていた。また、アンモニア処理した木本では個々の細胞が細胞間層で剥離することが判明した。このことは顕微鏡観察をする上で大きな支障となっていたため、呈色反応法の改良を試みた。その結果、アンモニア水の代わりにTris-HCl緩衝液を使用し蛍光観察をすることで上記欠点を解消し、さらにはグアイアシルリグニンの局在も示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画していたアンモニア処理した試料への化学的、物理的変化に対する解析は進んでおり、間接蛍光抗体染色法による各種細胞壁成分の局在観察が有効であるとの確証が得られている。一方で本研究の主要な部分を占める酵素処理後試料の間接蛍光抗体染色法による観察や、電子顕微鏡による超微細構造の観察に関してはまだ進行中であるが、この点に関しては、遂行上必要なモノコンポーネント酵素とその基礎データを入手することができたため、十分な進展があったと考えている。 また、概要に記したリグニン観察法の改良は、細胞壁成分の観察という点で非常に大きなインパクトを与えるものである。この改良によって、アンモニア処理後の木材細胞壁のさらなる評価が可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
アンモニア処理した試料の酵素処理、および間接蛍光抗体染色法によって、アンモニア処理前後、酵素処理前後での各種細胞壁成分の局在変化を観察する。併せてリグニンの局在観察も行い、顕微観察の点からアンモニア処理の影響をさらに調べていく。
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Research Products
(3 results)