2014 Fiscal Year Annual Research Report
異教徒間取引の実現と大会社の成立-19世紀末ドイツのAEG設立事例-
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14J11429
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹原 有吾 東京大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 大会社 / 企業家精神 / 市民社会 / ユダヤ教徒 / ドイツ |
Outline of Annual Research Achievements |
宗教的なマイノリティのユダヤ教徒が、ビジネスにおいて、キリスト教徒とどのように協力関係を築き、近代ドイツ資本主義の発展に貢献するようになったかを、大会社AEGの成立背景の分析によって明らかにすることが本研究の課題である。 2014年度は、19世紀末のAEGの成立に際して、ドイツ銀行やベルリン商業銀行といったベルリンの大銀行が、どのような役割を果たしていたかについて注目してきた。また、そうした大銀行の経営とベルリン商業会議所の運営が、どのような関係にあったかについても考察してきた。 その結果、19世紀末ベルリンで、大会社を興したユダヤ教徒の企業家精神を、ユダヤ教徒とキリスト教徒の社会的な統合の進展によって説明することができた。具体的には、まず、19世紀のベルリンにおいて、ユダヤ教徒とキリスト教徒の利害の一致が、市民社会から金融業へと段階的に進んでいったことを明らかにした。そして、そうした市民社会の利害が、それまで特定の家族の利害に基づいて構成されていた会社でも受け入れられるようになった点を見出した。さらに、このような市民社会の利害を受け入れて大会社を成立させた事例を、ユダヤ教徒の企業家の社会的な同化傾向として説明した。この成果は、「市民的な統合と宗教的マイノリティの企業家精神―19世紀末ベルリンのユダヤ教徒の同化・解放と大会社AEGの成立―」として『経営史学』に掲載されることが決まった。市民社会と経済活動の相互連関の歴史的展開に、今後も注目していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
経営史学の国内トップジャーナルである『経営史学』に掲載が決定したため。
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Strategy for Future Research Activity |
大会社AEGの成立した背景として、この大会社に出資した大銀行の設立が、ユダヤ教徒とキリスト教徒の協力関係が進展していた市民社会の歴史の中で、具体的にどのように位置付けられるかを検討していく。
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Research Products
(1 results)