2014 Fiscal Year Annual Research Report
逐次オークションにおける売却順序が与える影響の分析
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14J12034
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
久保田 昌幸 東京大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 異質財 / 逐次オークション / キャンセル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、逐次オークションが商品の売却順序に依らず効率的な配分を達成できるようにする方法を明らかにすることを目的として行われた。過去の研究においては、主に、同じ質の商品がオークションによって売られる状況を考えてきた。しかし、築地市場など、日々商品がオークションによって売られる市場を考えると、商品の質は日々異なると言える。加えて、売り手は売却順序を変える事が出来ないという特性がある。したがって、売却順序に依らずに効率的な配分を達成できるオークションルールを設計する事は重要である。 本研究は、有限期間に単一需要の入札者が複数いるモデルを用いてこの問題を考えた。本研究の成果の1つ目は、質の悪い財から売る場合には、通常のオークションルールでは効率的な配分を達成できないということである。成果の二つ目は、売却順序に依らずに効率的な配分を達成できるオークションのルールを1つ提示したことである。具体的には、せり上げオークションに商品の落札をキャンセルできる仕組みを導入した。このルールにおいて、最高額入札者は商品の落札をキャンセルすることができ、キャンセル料として「キャンセルによって売り手の収入に与えた損害額」を支払う。このキャンセル付きせり上げオークションを毎期行われるオークションのルールとすることで、売却順序に依らず、効率的な配分を導く事後均衡が存在することを示した。また、経済実験を実施し、理論的な帰結の妥当性の検証を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理論的な結果をまとめるのに遅れたことで、経済実験は次年度に繰り越されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
他の効率的配分メカニズムとの関連を考察する。
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