2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14J12303
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小谷 久寿 九州大学, 数理学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | Johnson準同型 / Magnus展開 / 絶対Galois群 / 組紐群 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年に引き続き,数論と位相幾何学の類似に基づき,数体の絶対Galois群に対して副-l Milnor数を定義し,その性質を調べた.位相幾何の場合と同様に,絶対Galois群の場合もある部分群に制限した場合には,副-l Johnson準同型は最初の消えない副-l Milnor数により記述されることがわかった.さらに,絶対Galois群に対する副-l Gassner表現についても調べた.この副-l Gassner表現は伊原べき級数を特別な場合として含んでおり,係数を比較することにより副-l Milnor数と伊原べき級数の係数の間の明示的な公式を導出した.これはSoule指標の位相幾何類似を考える上で重要な示唆を与えるものとなった. また,射影直線引く3点の代数的基本群へのGalois作用の理論におけるnormalized special derivationのnormalized条件から,n+1個の境界成分をもつ曲面に適合したMagnus展開であるnormalized expansionを導入し,これを用いてstring linkに対するinfinitesimal Morita-Milnor mapを構成した.また,このnormalized expansionを用いて連結なtree Jacobi図のなす線型空間に値をもつstring linkからの写像も構成した.これらの内容は論文の形にまとめ投稿した.また,これは,G.Massuyeau氏により導入されたspecial expansionから条件をひとつ外したものであることが後にわかった. 同時に,被約Gassner表現の一般化を与えるLKB表現の多変数版の表現行列を計算し,U_q(sl_2)表現との関係についても調べた. さらに,昨年から引き続き古庄英和氏よるGrothendieck-Teichmuller群と呼ばれる位相幾何的にも数論的にも重要な群に関する集中講義のレクチャーノートの作成に協力し,「結び目とGrothendieck-Teichmuller群」というタイトルの書籍としてKyushu university MI lecture note seriesから発行されるに至った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理由としては次の二つが挙げられる.一つ目は,位相幾何学と数論の相互啓発的な研究を行えたことである.位相幾何学から数論への応用としては,絶対Galois群と写像類群の類似に基づき,位相幾何の概念を数論に導入し,Soule指標とMilnor不変量の間の明示的な関係式を与えることができた.他方,数論から位相幾何学への応用として,Magnus展開の視点から数論から位相幾何学への応用を行うことができたことができた.二つ目の理由としては,来年度に向けた準備ができたことである.具体的には,組紐群の量子表現と関連の深いホモロジカル表現について研究を行った.この表現の数論への応用を来年度以降に行っていく予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,今年度の研究をさらに発展させまとめていくことを考えている.絶対Galois群の副-l Gassner表現の研究だけでなく,数論における伊原べき級数が持つ特別な性質は位相幾何学において何らかの対応する性質が存在するかも調べる価値があるように思われるため,これについても研究を行っていく予定である.
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Research Products
(2 results)