2014 Fiscal Year Annual Research Report
酸性オルガネラ機能制御に介在する低分子量Gタンパク質Arl8の機能解析
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14J12392
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
橋本 圭介 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 低分子量Gタンパク質 / 活性制御 / リソソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
Arl8は、Arf/Arl (Arf-like)サブファミリーに属する低分子量Gタンパク質であり、非常に数多くの低分子量Gタンパク質の中でArl8は唯一、主にリソソームの膜に局在することが初めて示された低分子量Gタンパク質である。低分子量Gタンパク質がその機能を発揮するためには、GTPを結合して活性化された際に、適切なオルガネラ膜に局在する必要があり、このタンパク質の活性化・オルガネラの局在という一連の流れは、オルガネラの恒常性維持に重要であることが予想される。しかし、Arl8の活性化制御機構や膜局在化メカニズムについては全く分かっていない。よって、Arl8のグアニンヌクレオチド結合活性を制御する因子群、及びArl8のリソソーム膜への局在化を規定する因子群を同定し、Arl8のGサイクルに伴う膜局在化の制御機構を解明することを目的として解析を行った。 哺乳類でArl8はArl8aとArl8bの2種が存在することが知られている。そこで、培養細胞から精製したArl8aとArl8bの標品を用いてグアニンヌクレオチド結合特性を検討したところ、Arl8aとArl8bではグアニンヌクレオチド結合特性が大きく異なることが示された。Arl8aとArl8bはアミノ酸配列の相同性が比較的高いため、両者の相同性が低いアミノ酸領域であるN末端アミノ酸がArl8の活性化制御に関与している領域と考え、Arl8aとArl8bのN末端置換体を作製し、GTP、およびGDP結合特性を検討した。結果、Arl8の活性化は、N末端のアミノ酸領域に大きく依存していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで不明であったArl8の活性化制御にそのN末端領域が関与することを見いだした点は意義深い。また、Arl8のグアニンヌクレオチド結合特性の解析にも進展がみられたことから、本研究はおおむね順調に進行しているものと評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
Arl8の活性化制御を担う因子を同定するため、動物組織から抽出した細胞質画分、細胞膜画分を精製Arl8に添加し、Arl8の活性化状態に与える影響を評価する。また、密度勾配遠心法によって各種オルガネラ画分を精製、Arl8に添加し、Arl8の活性化状態に与える影響にオルガネラ特異性があるのか検討する。その後、各種クロマトグラフィー、質量分析解析を組み合わせることによってArl8の活性化制御を担う分子を同定する予定である。
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