2014 Fiscal Year Annual Research Report
小中学校における生活習慣病を予防する食育プログラムの開発及び実施方法の提案
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14J40034
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
本田 藍 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(環境), 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 生活習慣病予防 / 医療費削減 / 食生活改善 / 小中学生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的である、「小中学生が生涯健康的な食生活を送るための技術を獲得できる仕組みを作り、家庭も含めた食生活を改善し、生活習慣病を予防する」ため、今年度は、食生活改善プログラム(以後プログラム)の作成、プログラムの推進体制の整備、プログラムの評価体制の検討、プログラムの実践と普及をおこなった。研究フィールドは、熊本県の大津町に決定した。また、研究実施に当たり、NPO法人クラブおおづ、大津町健康保険課、大津町生涯学習課、大津町教育委員会、大津町商工会等関係機関と連携することで、より対象を拡大した取り組みの実施につなげることができた。さらに、プログラム内の調理技術の獲得の部分で、福岡教育大学秋永教授と共同研究を開始することができた。 研究フィールドにおける対象(小中学生)の食生活上の課題を明らかにするため、小学5年生(372名)と中学2年生(281名)とその保護者(170名)計823名を対象に、食生活調査を実施した。その結果、野菜摂取量不足や、魚類の摂取意識不足、保護者の家庭における栄養・調理の指導不足、便秘、主観的健康感の悪さ等が課題としてあげられた。明らかになった食生活課題を参考に、小中学生の発達段階に沿ったプログラムを作成し、一部大津町の小学生に実践した。また、小学校高学年、中学生向けプログラムを、高校生用にアレンジし、「食育リーダー育成プログラム」として、翔陽高校の学生を対象に実践し、その内容と成果を日本食育学会誌に投稿している。 また、栄養教諭や食育担当教員へのヒアリングを行い、小中学校における食育推進上の課題抽出ができた。 さらに、生活習慣病発症リスクを下げる食生活を先行研究から抽出し、プログラムの行動目標とした。その達成状況を評価する調査票も作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NPO法人クラブおおづや、商工会、観光協会など関連機関と共同研究という形で、熊本県の大津町において研究が推進できることとなった。 食育プログラムの作成にあたっては、大津町教育委員会のご協力をいただき、1小学校を除く全小中学校で食生活調査アンケートが実施でき、小中学生の食生活上の課題抽出ができた。この課題に基づくプログラムを作成できたことで、より現場の教職員に受け入れやすい教材となったと考えられる。プログラムの実践場面では、信頼関係を築けた小学校から声掛けをいただき、一部実践につなげることができた。また、商工会にもメリットがある形で、特産品の普及につながる食育プログラムを実践し、食育実践の新しい展開を作ることができた。以上の点では、計画以上の成果を上げることができたと考えられる。 一方で、推進体制、評価の場面では当初予定していた栄養教諭業務に関する全国調査や産業関連分析が一部達成できていないため、総合して、「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、福岡教育大学の教員養成課程の食環境論において、プログラムを実践させていただく機会をいただいた。そこで、大学生を対象とした場合の成果についての評価し、抽出された課題に沿ってプログラムの改善をおこなう。また、食育推進委員会において小中学校に働きかけ、モデル校を選出しプログラムの実践をおこなう。その際、食生活改善状況などについて質問紙調査をおこない、その結果を基に、生活習慣病予防効果や、将来的な医療費への推察につなげたい。それらの分析につなげるため、医療費分析の専門家に勉強会・調査設計等の依頼を出している。 調理技術の効率的な獲得のための指導方法についても福岡教育大学の秋永教授と共同研究を行い、引き続き一人調理の成果を検証していく。 また、作成したプログラムを広く実践、普及していくため、HPの作成と著書の執筆を予定している。 また、食育推進体制の整備のため、先進地視察をおこない、自治体と学校、地域が協力し合いながら食育を推進していく体制について検討をおこない、政策提言をおこなう。 以上の成果と課題を栄養改善学会や食育学会、食生活学会、調理科学会、家政学会、家庭科教育学会など関連学会に報告していく計画としている。
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Research Products
(2 results)