2014 Fiscal Year Annual Research Report
明治前期における最高意思決定の研究-大臣の役割を中心に-
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14J40102
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Research Institution | Kogakkan University |
Principal Investigator |
川越 美穂 皇學館大学, 文学部, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 明治政府 / 天皇親政 / 太政官制 / 三条実美 / 内閣制 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は最初に政治家としての三条実美の活動について、その全体像について刊本史料を中心として検討し、さらに出産育児による研究中断後であるため、史料情報や研究状況の収集も重点的におこなった。その上で三条の政策決定への関与が深い案件を選別する作業をおこなった。その結果三条自身による政策判断の傾向、閣議決定に対する考え方、天皇の政治参加が開始された明治10年代とそれ以前の太政大臣の役割の相違点など、閣議決定・天皇と閣議の関係の変遷に関して、いくつかの見通しを得ることができた。この見通しに基づき、未刊行史料の収集も開始した。今年度実施できたのは、特に明治初年について三条が深く関与した案件、すなわち徳川氏処分問題・東幸・還幸問題・民蔵分離問題・明治3~4年の政体改革の四件に関わるものである(岩倉具視関係文書・広沢真臣関係文書・大木喬任関係文書等)。 当初の研究計画では、今年度は三条実美関係の書簡を収拾して、奏上に特化した案件抽出を予定していたが、刊本史料によりこの作業に取り組むなかで、奏上の前段階となる閣議決定の性格は時期によって相違し、奏上の意義もそれによって変化する様子が窺えたことから、先に三条が閣議決定に深く関与した案件を刊本史料から選別したうえで史料収集を行い、閣議決定や奏上の性格を考察する手順をとることにした。したがって当初予定では今年度の史料収集は奏上関係全般としていたが、手順変更や出張回数の確保が困難であったことから、刊本史料の検討を先に重点的におこなったため、未刊行史料の収集を充分に行うことができず、来年度以降に残すことになった。なお研究成果については、当初予定通り将来的に一般書の形で公表する予定であるが、今年度は所属大学にて三条を題材とした講義を実施したことで、一般向けに論点を整理して解説する準備を整えることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度の研究計画は史料調査を中心とした内容であり、刊本史料をもとに三条実美の政治行動の全体的な傾向をつかむ作業は進んだが、未刊行史料の調査については当初の計画よりも調査回数の確保が実際には困難であった。また奏上に特化した閣議案件の抽出を予定していたものの、実際に作業を開始すると奏上の前段階となる閣議の時期による差異を考慮する必要性が生じたことから、研究対象人物である三条実美が閣議決定に深く関与した案件ごとに、意見調整の詳細を分析する方法に切り替えた。調査回数の問題に加えて、この手順変更もあって史料収集の総量が予定よりも少なく、よって全体的にはやや遅れがちである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は史料調査の回数を確保できなかったことによる研究の停滞が反省されることから、今後は数少ない史料調査の実施機会を有効活用するため、調査時には可能な限り閲覧よりも複写や撮影を優先し、また作業効率を考慮して閣議案件ごとにまとめて史料収集する手順をとる方針である。また当初予定では三条実美と関係する政府高官との往復書簡全般を調査範囲としていたが、効率の面から特に三条を岩倉具視の間に絞った調査検討を実施し、関連して調査を要する分について、他の人物に関わる史料を収集する方法に切り替えることにする。 また当初は27年度に予定していた大臣による情報収集に関連する史料収集は、三条岩倉間の往復書簡の検討を優先するために、来年度に予定したい。 なおこの結果は論文の体裁とし、博士論文の出版時に加える予定であり、また予定している一般書に成果を反映する計画である。
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