2015 Fiscal Year Annual Research Report
イギリスの雇用可能性向上とキャリア形成に対する公的支援枠組み構築に関する調査研究
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14J40144
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
白幡 真紀 東北大学, 教育学研究科, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | キャリア教育 / キャリア・ガイダンス / 雇用可能性 / 情報・アドバイス・ガイダンス(IAG) / イギリス |
Outline of Annual Research Achievements |
イギリス(イングランド)では2012年にキャリア教育・ガイダンスに対する法的指導要件が改訂された。これに伴い、学校やカレッジに対して学校以外の第三者機関との連携によるキャリア・ガイダンスが義務化されることとなった。 本年度は、このキャリア・ガイダンスにおける学校の外部機関との連携について分析し、公的機関がどのように協働基盤の構築を支援していくのか、その課題は何かについて考察を行った。特に、ナショナル・キャリア・サービスと学校の連携をはじめ、先行研究では明らかにされてこなかった学校外部の周辺支援の状況、特にキャリア・カンパニーの実態と公的資金の投入されたプログラムについて検討し、それがどのように機能しているかについて明らかにすることを目的とした。 この予備的考察と調査のため、2015年2月(前年度)および2015年6月に訪英し、文献収集およびインタビューを行った。 その検討の結果、政府の仲介的役割とキャリア・リソースに対する公的資金の投入だけでは学校と外部機関、地域社会との確固たる協働基盤を構築するのは困難であることが示された。特に、政府の仲介的役割には指導力はほぼ見られず、広い範囲に公的資金が投入されているものの、その額は決して多いとはいえない。そして、サプライヤーの選択肢の多さがすなわち学校におけるキャリア・リソースの充実にそのままつながるわけではないことも明らかとなった。 また、学校でのキャリア・ガイダンスに関しては、実際には政府が同時に推進する「学校の自律性(school autonomy)」へのコミットメントと予算の大幅削減により、当初の計画がかなり弱体化したと指摘されている。この「学校改善」を目指す「学校の自律性」の拡大とカリキュラムに関して、昨年度に引き続き調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は妊娠・出産のため、3か月の産休・育休休暇を取得した。そのため、予定していた学会発表や調査等が一部未実施に終わってしまった。 訪英調査は行ったが、妊娠中期での実施だったため、体調を考慮し、また何かあった際に相手方に迷惑がかからないよう学校訪問等は中止し、文献調査やインタビューが主となった。 しかし、昨年度から計画していた学校外の周辺支援の状況とその課題について明らかにし、学会にて発表を行い、その結果をまとめて学術雑誌に投稿中である。さらに、学校の自律性については、政権の重点項目である「教師の質」について評価システムに焦点を当てて検討し、その結果を学術雑誌に掲載した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は最終年度であるので、これまでの研究のまとめとして、イギリス前連立政権、そして現保守党政権が推し進める①学校におけるキャリア教育・ガイダンスの提供の課題について、②成人のキャリア・ガイダンスの公的支援の課題について、それぞれを明らかにする。その際、この領域における需要主導アプローチ政策との関連において考察を進めていく予定である。 これまでの分析を補完するため、訪英調査は引き続きプロバイダやキャリア・カンパニー等へ訪問し、当事者へのインタビューと文献調査を中心に行っていく予定である。
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Research Products
(2 results)