2014 Fiscal Year Annual Research Report
日中韓における都市鉱山プロジェクトの政策評価-小型家電リサイクルの比較分析-
Project/Area Number |
14J40208
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齋藤 優子 東北大学, 国際文化研究科, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 都市鉱山 / 小型家電リサイクル / 日中韓 / 政策評価 / 国際資源循環 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は特別研究員初年度ということもあり、情報の収集に力を注いだ。具体的な実施内容は下記の三点が挙げられる。 第一点目は本研究課題の関連文献・資料の収集である。日本国内の廃棄物政策・行政関連の先行研究論文・文献資料等だけでなく、ガバナンス論、韓国・中国の廃棄物政策関連の文献、バーゼル条約をはじめとした国際関連法や国際資源循環に関する文献等を収集し、理論の概要を把握することができた。 第二点目は小型家電リサイクルに取り組む自治体・事業者等のヒアリング調査・現地調査を実施したことである。国の実証事業に取り組んでいる市町村や、国から再資源化計画の認定を受けている認定事業者を中心に、合わせて25を超える自治体・事業者の調査を実施した。こうした調査を経て、小型家電リサイクル法の意義と課題について定性的な分析を行うことができた。一方で、海外の調査として、国が「社会的企業法」という法的枠組みを整備して「社会的企業」が小型家電リサイクル事業を行っている韓国ソウル市の事例を調査した。 第三点目は、研究会・シンポジウム・学会等に積極的に参加し、他の研究者との情報交換・意見交換を重ねて、自らの知識や考えを深めたことである。日本地域政策学会、日本マクロエンジニアリング学会、全国都市清掃研究・事例発表会ではこれまでの研究成果を発表することができ、他の研究者や行政関係者、静脈産業の事業者との有意義な情報交換・意見交換を行うことができた。また、アジア自動車環境フォーラムの日本事務局としてモンゴルで開催された第7回AAEF(Asian Automotive Environmental Forum)の運営に携わる中で、有意義な情報を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の現在までの達成度としては三年間で達成したい到達点の40%程度と自己評価したい。 まず先行研究・関連資料の収集については概ね行うことができた。また、小型家電リサイクルを実施運用している全国の自治体や国の認定を受けた認定事業者に対してヒアリング調査を実施することができた(平成26年度は25を超える自治体・認定事業者に対しヒアリング調査を実施した)。こうした調査を行うことによって、①小型家電リサイクル事業着手に関すること、②モノ(品目・量)とカネのフロー、③他の利害関係者等との関係性、④採算性、⑤法制度との関係、⑥小型家電リサイクル事業実施前後の変化、等について実態を把握し、定性的な分析を行うことができた。 一方で小型家電リサイクルと福祉との連携の事例として新潟県基板ネットワークの現地調査・ヒアリング調査を実施し、自動車電装品の基板を例に採算性分析を行った。 さらに、韓国のSRセンターの現地調査・ヒアリング調査を実施した。以上の調査・定性的な分析を通して、日韓の都市鉱山政策・プロジェクトの課題を抽出することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の本研究の推進方策としては、まず日本と韓国の実態調査をさらに進めることである。日本については小型家電リサイクルに取り組む自治体・認定事業者のヒアリング調査をさらに進め、定性的な分析を図るとともに、定量的分析についても試みる。 また韓国については、ソウル市SRセンター同様の枠組みの他都市への横展開が進められている状況であることから、そうした都市の現地調査・ヒアリング調査を実施する予定である。 中国については都市鉱山政策・プロジェクトの概要についての予備調査が不足していることから、関連資料の収集や関係者のヒアリングを実施したい。 以上のことを踏まえて、日中韓各国の法制度の相違点を整理し、整合性について考察を行う。さらに国際資源循環のあり方について実証的見地を踏まえながら考察を行いたい。また平成27年度は学会やシンポジウムへの参加、アウトリーチ活動等を通じて研究成果の社会発信にも力を入れたい。
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Research Products
(7 results)