2003 Fiscal Year Annual Research Report
桜島火山における爆発地震の解析による爆発的噴火の力学過程の解明
Project/Area Number |
15038210
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
為栗 健 京都大学, 防災研究所, 助手 (70335222)
|
Keywords | 桜島火山 / 爆発的噴火 / 爆発地震 |
Research Abstract |
桜島火山で発生する爆発的噴火の力学過程をより詳細に明らかにするために、爆発地震の初動に続く振幅の大きな引き波(D相)に着目し解析を行った。D相は見かけ伝播速度、振動軌跡の卓越方向からP波と考えられるが、詳細に見てみると単純なP波とは考えにくい特徴が見られた。D相のパルス幅は震央距離が長くなるにつれ伸び、振動軌跡はパルスのピーク以降直線性が悪くなり楕円振動を示す。波形解析から、D相はP波で始まり、ピーク以降Rayleigh波が卓越してくることが明らかになった。これまでの爆発地震の震源過程の研究では、D相は深さ2kmにおける1つの収縮力源によって再現されてきたが、これらの特徴はうまく説明できていなかった。D相は火道内のガスが上方へ抜け、圧力低下による火道収縮によって励起されると考えられる。波形の特徴を元に、D相を励起する震源は1つの収縮力源ではなく、深さ2kmからそれよりも浅い部分へ順次伝播するのではないかと考え、鉛直方向に配置した多点震源による観測波形の再現を試みた,その際、各点震源の震源メカニズムは円筒収縮を仮定し、各地震モーメントはグリッドサーチにより求められた。その結果、D相を励起する震源が浅部にも伝わるため観測されているRayleigh波がよく説明できた。また、地震モーメントは深部では大きく、浅部になるほど小さくなる結果が得られた。今後は各点震源の発震時間間隔をより詳細に調べ、火道内での物理過程、火口底での爆発的噴火の発生との関係を明らかにする。
|