2003 Fiscal Year Annual Research Report
"自己複製"と"寿命・老化"制御における分子基盤の共通性
Project/Area Number |
15039229
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
平尾 敦 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90343350)
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Keywords | 造血幹細胞 / 未分化性維持機構 / 老化 |
Research Abstract |
本研究では、造血幹細胞の未分化性の維持機構が、寿命・老化制御と共通ではないかという仮説に基づき、寿命・老化制御因子の幹細胞における役割を明らかにする。まず、我々は、骨髄において細胞周期から逸脱したG0期にある造血幹細胞は、骨髄の皮質骨表面において、骨芽細胞と接着しており、ここが造血幹細胞のニッチとよばれる場所であることを明らかにした。ニッチにおいて、幹細胞はストレスに抵抗性を示し、いわば冬眠状態で長期間過ごしている。細胞周期を停止させ、幹細胞のテロメアを長く保ち、Hayflick限界に近づくことのないようにして、いかに長く命を保つかに最大の努力を払っている。我々は、いくつかの候補遺伝子を強制発現系、ノックアウトマウス、siRNA法によるノックダウン法によって、造血幹細胞における役割を解析している。まず、酵母で寿命を制御していることが知られている脱アセチル化酵素Sir2が造血幹細胞に発現が強いことが明らかとなった。そこで、野生型およびドミナントネガティブ型のトランスジェニックマウスを作製し、現在、幹細胞を移植し、未分化性維持能を長期にわたって検討中である。つぎに、ヒトでその欠損が早老症を呈するATM (Ataxia Teleangiectasia Mutated)の解析をしたところ、ATMが造血幹細胞の再生能に重要な役割を果たしていることが明らかとなった。一方、前駆細胞では、分化および増殖能に異常を認めなかったため、ATMの機能は幹細胞に特異的であると考えられた。このATMによる幹細胞制御の分子機構を詳細に解析することによって、幹細胞の未分化性維持機構あるいは寿命制御を明らかにする予定である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Keramaris E, Hirao A, Slack RS, Mak TW, Park DS: "ATM can regulate p53 and neuronal death independent of Chk2 in response to DNA damage"J Biol Chem. 278. 37782-37789 (2003)