2005 Fiscal Year Annual Research Report
強磁場、極低温における分子性伝導体・分子素子の光物性測定
Project/Area Number |
15073207
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田島 裕之 東京大学, 物性研究所, 助教授 (60207032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 真生 東京大学, 物性研究所, 助手 (80376649)
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Keywords | 分子性伝導体 / 生体機能物質 / 電界発光 / フタロシアニン / 分子素子 / 磁気トルク / 有機伝導体 / 有機EL |
Research Abstract |
1.生体発光ダイオード(BIODE) 鉄ポルフィリン(ヘム)を含む一連の物質(cytochrome c, myoglobin, hemin)を用いて、ITO/鉄ポルフィリン/Al接合を作成した。その結果、これらの接合は、電圧印加時に、電界発光を示すことを見出した。 heminを用いたELの実験では、印加電圧があるthresholdを越えると、ELスペクトルが劇的に変化する現象を見出した。磁化率の測定等から,このELスペクトルの形状変化は、電圧誘起の高スピン-低スピン転移に相当すると推定される。 2.鉄フタロシアニン塩の磁気トルク測定 高感度の磁気トルク測定装置を作成し、TPP[Fe^<III>Pc(CN)_2]_2およびPTMA_x[Fe^<III>(Pc)(CN)_2]・y(MeCN)の磁気トルク測定を行った。その結果、これらの塩ではπ電子によるFerrimagetic orderができていると推定されることがわかった。ちなみに、有機伝導体でのFerrimagetic orderの発見は本研究が始めてである。 3.新規フタロシアニン塩の合成と物性測定 CN軸を軸配位子として持つフタロシアニン塩としては、これまでS=1/2のFe^<III>Pc(CN)_2を含むもの、S=0のCo^<III>Pc(CN)_2を含む塩の2種類のみが知られていたが、新規にS=1のMn^<III>Pc(CN)_2を含むTPP[Mn^<III>Pc(CN)_2]_2の合成に成功した。これまでに、磁化率、磁気抵抗、磁気トルクの測定を行っている。 上記の研究実績に関連して、生体発光ダイオードに関する論文が、日本化学会の論文賞(BCSJ賞)に選出された。また、鉄フタロシアニンの負磁気抵抗に関する論文が、物理学会のEditors Choiceに選出された。
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Research Products
(6 results)