2006 Fiscal Year Annual Research Report
強磁場、極低温における分子性伝導体・分子素子の光物性測定
Project/Area Number |
15073207
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田島 裕之 東京大学, 物性研究所, 助教授 (60207032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 真生 東京大学, 物性研究所, 助手 (80376649)
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Keywords | 分子性伝導体 / 生体機能物質 / 電界発光 / 光起電力 / 分子素子 / フタロシアニン / 有機伝導体 / 有機EL |
Research Abstract |
(1)極低温、強磁場中の光起電力測定 本プロジェクトにおける、申請者の役割のひとつは、光と磁気の関連する現象を、有機物質を含む系で見出すことである。以前、導電性有機単結晶において、光伝導度の磁場依存性の実験を行ったが、バルクの単結晶では、光で生成したキャリアが再結合し、熱に変わる過程が無視できないため、温度上昇による暗電流増加か、それとも光キャリアの温度依存性、磁場依存性を見ているのかがわからなかった。そこで、有機薄膜デバイスの一種である、ポリマー太陽電池を作成し、光変調に対する光電流応答を調べたところ、温度依存性、磁場依存性に著しい変化を見出した。さらに光電流応答の磁場効果は、変調周波数が高いほど大きいことがわかった。 ちなみに極低温で、ポリマー太陽電池の電流電圧特性の実験を行ったのは本研究がはじめてである。 (2)ポルフィリン錯体の電界発光測定 多くの有機ELでは、ショットキー型の接合が両極に形成され、正孔と電子をバランスさせるような工夫がなされている。これに対して、片側にオーミック接合を作成し、もう片側をショットキー接合にした場合、少数キャリアが注入される側が固定でき、電界発光のモデルがより単純化できる。このような観点から、M(TPP)[M=Cu,Zn]を用いた単層型電界発光素子(/ITO/M(TTP)/Al/)を作成し、実験をおこなった。この素子では、M(TPP)とITOが接触する側で、オーミック接合ができている。その結果Zn(TPP)を用いた素子で、電圧により発光スペクトルの形状が変わる現象を見出した。この現象は、電荷注入により生じる励起子が低電界では三重項であったのが、高電界では一重項となることを示唆していると考えられる。 (3)フタロシアニン塩の巨大負抵抗に関係する関する論文のとりまとめを行った。
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Research Products
(6 results)