2007 Fiscal Year Annual Research Report
強磁場、極低温における分子性伝導体・分子素子の光物性測定
Project/Area Number |
15073207
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田島 裕之 The University of Tokyo, 物性研究所, 准教授 (60207032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 真生 東京大学, 物性研究所, 助教 (80376649)
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Keywords | 分子性伝導体 / フタロシアニン / 巨大負磁気低抗 / 光起電力 / スピンクロスオーバー転移 / 有機伝導体 / 有機EL / 有機太陽電池 |
Research Abstract |
(1)伝導性フタロシアニン塩の磁性 伝導性鉄フタロシアニン塩は、巨大負磁気抵抗を示すことが知られている。この負磁気抵抗はフタロシアニン環の中心に位置する鉄原子と伝導性を担うπ電子の相関によって起こることがわかっているが、その詳細なメカニズムは未だに不明である。今回この物質の物性を明らかにするために、磁気トルクの測定およびデータの詳細な解析を行った。その結果、これまで不明であったi)25Kの磁化率の極大はd電子による短距離反強磁性秩序によること、ii)13K以下でπ電子による短距離反強磁性秩序の形成があること、iii)π電子によるスピンフロップ磁場は9Kで約8Tと、有機物質としては桁外れに大きいこと、を見出した。 この成果はPRBに現在投稿中である。 (2)スピン転移と電界発光の相関の研究 heminの電圧誘起発光ヌペクトル変化は、高スピン-低スピン転移に伴って電界発光の様子が変化することを示唆している。そこで、スピンクロスオーバー転移を起こす試料中に発光分子を閉じ込めて、電界発光測定を行ったところ、スピンクロスオーバー転移に伴う電界発光の消失を観測することに成功した。また、この研究に基づいた特許申請を行った。 (3)強磁場中の光電流測定 強磁場中で光電流測定を行い、磁場が光電流に大きな影響を与えることを見出した。 (4)CELIV法による移動度測定 CEILIV法は、薄膜試料で移動度を測定できる手法として注目されている。極低温で、この実験が可能な測定システムを立ち上げて、実験を行った。またデータを定量的に解析するために、非線形の連立微分方程式である、半導体の輸送方程式を数値計算により解くプログラムを作成した。
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Research Products
(5 results)