2004 Fiscal Year Annual Research Report
分子性導体の極限環境下における半導体から金属へのクロスオーバーの理論
Project/Area Number |
15073213
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鈴村 順三 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90108449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 晃人 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80335009)
土射津 昌久 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70362225)
紺谷 浩 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90272533)
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Keywords | 有機導体 / 超伝導 / 相転移温度 / スピン・パイエルス / 電荷秩序 / 2量体化 / 不純物 / モットグラス |
Research Abstract |
低次元有機導体における電荷秩序や揺らぎを示す電子状態を調べるため、(1)斥力により引き起こされる2次元超伝導体、(2)電荷秩序を伴うスピン・パイエルス状態、(3)不純物と整合ポテンシャルの競合下での電荷密度のピンどめで生じるモットグラスの研究を行った。(1)2次元有機導体α-(BEDT-TTF)_2I_3塩の超伝導の発現機構を調べるため、単一格子内に4個の分子が存在する1/4充填の2次元拡張ハバード模型について電荷整列状態を分子場近似で取り扱い、スピン及び電荷感受率、超伝導の相関関数を乱雑位相近似の範囲で取り扱い超伝導相転移温度を計算した。この超伝導状態は、ギャップの異方性が大きく、S-波の対称性を持ち、電子対の間に働く引力は格子点間で生じることが分かった。圧力下ではナローギャップ半導体(NGS)状態となりフェルミ面直下で大きな状態密度を示し、超伝導が可能になる。(2)有機導体でのスピン・パイエルス状態は1/4充填であるため2量体化により可能になるが、電荷秩序が存在する場合は2量体化とは競合する。格子間の斥力を増加させると電荷秩序が現れ、2量体化と電荷秩序の競合により格子歪が最大値をもつことを示した。(3)1次元2分の1充填の電子系における不純物によるピンどめを電荷の位相ハミルトニアンを用いて計算し、アンダーソングラスとモット絶縁体の中間の領域で出現するモットグラスと呼ばれる状態における、量子効果を調べた。零点エネルギーの効果によりモットグラス状態が消失する様子を示した。これらを論文(JPSJ他)及び日本物理学会(2004秋、青森大学)で発表した。
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Research Products
(6 results)