2005 Fiscal Year Annual Research Report
分子性導体の極限環境下における半導体から金属へのクロスオーバーの理論
Project/Area Number |
15073213
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鈴村 順三 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90108449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 晃人 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80335009)
土射津 昌久 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70362225)
紺谷 浩 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90272533)
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Keywords | 有機導体 / スピン密度波 / 超伝導 / ディラックコーン / 電荷秩序 / スピン揺らぎ / くり込み理論 / 核磁気緩和率 |
Research Abstract |
(i)擬1次元有機導体TMTSF塩での圧力下でのスピン密度波から超伝導への相転移を研究した。密度波と超伝導の競合や共存が、圧力による1次元鎖間の電子移動の大きさの増加により生じる機構をくり込み理論を用いて調べた。電荷密度波と共存するこの塩で重要な次近接斥力を考慮することによりf波のトリプレット超伝導を示し実験結果を支持する結果を得た。さらに次近接斥力も考慮し充填率が4分の1の模型を用いて磁化率の温度依存性を研究し、最近接斥力は磁化率を増加させるが、次近接斥力は磁化率を減少させることを示した。 (ii)2次元有機導体α-(BEDT-TTF)_2I_3塩における電荷秩序下での超伝導が出現する機構を分子場理論に基づく乱雑位相近似を用いて線形化されたギャップ方程式を用いて調べた。単位胞に4個の分子を持つこの塩で圧力を加えると電荷秩序下でも金属状態が出現し、単位胞内で電子の空孔が多く存在する分子間で、スピン揺らぎによるクーパー電子対が生成され超伝導が出現することを示した。電荷秩序下でも超伝導相が出現するという実験をこの理論により解明し有機導体の分野に大きく貢献した。さらに高圧で超伝導の代わりに現れるゼロギャツプ半導体は有機導体における線形分散を持つディラックコーンの出現であることを発見した。 (iii)ドープされた2鎖の超伝導物質SrCaCuOの密度波に移り変わる臨界点での正常状態において2つの磁気励起の性質により、磁化率が常磁性、核磁気緩和率が温度の異常な依存性を示すことを、くり込み群と有効理論を用いて明らかにした。
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Research Products
(6 results)