2006 Fiscal Year Annual Research Report
分子性導体の極限環境下における半導体から金属へのクロスオーバーの理論
Project/Area Number |
15073213
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鈴村 順三 名古屋大学, 大学院理学研究科, 教授 (90108449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 晃人 名古屋大学, 高等研究院・特任講師 (80335009)
土射津 昌久 名古屋大学, 大学院理学研究科, 助手 (70362225)
紺谷 浩 名古屋大学, 大学院理学研究科, 助教授 (90272533)
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Keywords | ディラック粒子 / ゼロギャップ状態 / 電荷秩序 / α型BEDT-TTF塩 / 鎖間電荷移動 / 擬1次元電子系 / 擬2次元有機導体 / 電荷揺らぎ |
Research Abstract |
本研究では、主に以下の2つの研究を行った。 まずは、質量ゼロのディラック粒子の出現について研究した。2次元有機導体α-(BEDT-TTF)_2I_3塩において分子の積層(a-軸)方向に加圧するとフェルミエネルギーの場所で占有されたバンドと非占有のバンドが1点(縮退点)で接して、ゼロギャップ状態(ZGS)を形成することを見つけた。これは相対論的ディラック方程式から導出される質量ゼロの粒子と同じ線形のエネルギー分散をもつディラック・コーンを形成する。このZGSについて以下の結果を得た。縮退点は、分子積層方向の2種類の移動積分の値が異方的であため存在する。この縮退点のブリルアン・ゾーンにおける位置は、結晶の対称とは全く関係なく非整合な場所である。この塩でのZGSが圧力変化、電荷秩序、電荷不均化に対して安定である原因として単位胞に4個の分子が存在することが重要である。縮退点のまわりの特異性は4分子の各サイトの粒子占有数の波依存性にも現れる。 次に低次元有機導体の揺らぎの研究を行った。擬1次元電子系の磁化率に対する鎖間電荷移動の役割を調べた。繰り込み群の手法を用いて拡張はバード模型における磁化率の温度依存性を計算し、鎖間電荷移動は、低温では磁化率を減少させ、高温では磁化率を増加させることを示し、この理由として低温では反強磁性スピン揺らぎを増加させ、高温では1次元的揺らぎを減少させることを明らかにした。さらに擬2次元有機導体α-(BEDT-TTF)_2NH_4Hg(SCN)_4塩の超伝導にたいして電荷密度波(CDW)及び電荷揺らぎがどのような効果を与えるかを調べ、加圧下で相転移温度が最大になること、ギャップがフェルミ面全体に開いていることを示した。
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Research Products
(6 results)