2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15084205
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
南方 暁 Niigata University, 人文社会・教育科学系, 教授 (70125805)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上石 圭一 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (80313485)
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Keywords | 非主題化 / 紛争回避 / 共同体的規制 / 人間関係 / 法律家へのアクセス / 法的リテラシー / 法と情報 / 主観的要素 |
Research Abstract |
1.日常生活で問題が発生した場合、被害にあったと認識した者が、法を使って問題を処理するという選択をしない状況を「法の非主題化」として考え、その要因は何かを検証した。とりわけ家族をめぐる問題である離婚・相続・介護に関して、法に訴えることの阻害要因については、従来、(1)家族の問題は隠しておきたいこと(他者の目が気になること)、(2)法的対応にはお金や時間ならびに労力がかかること、などが挙げられていたが、集計したデータを分析すると、必ずしもそのような傾向は見られないことが明らかになった。第一に、離婚・相続・介護では要因の顕れ方が異なっている。離婚では他者の目が気になるとする者が相対的に目立つが、相続や介護では顕著ではない。第二に、介護は他の二つのグループと異なり法的な紛争として理解する者が少ない、第三に、どのグループでも時間や費用の負担はそれほど大きな要因として機能していない、第四に、自分が正しいと確信がもてないことが離婚・相続では非主題化の要因になっており、とりわけ離婚の場合は、強くその傾向を見ることができる。 2.非主題化要因としては、相談をしないことが挙げられる。そして、相談への期待と提供される相談の内容のズレが、主題化行動(非主題化行動)に影響を与えているという傾向が推測された。この点は、まだ確証の段階ではないが、データの処理と、他の関連資料から、非主題化行動にとって有意な要因ではないかと思われる。 3.非主題化の状態とはどういうことなのかについては、問題の性質によって相当内容が異なる。人々の意識、当事者の人間関係、活用できる資源などによって「非主題化」(主題化)がいつ起こるかについては、複数の定義があってよいのではないかと思われる。
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Research Products
(1 results)