2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15084205
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
南方 暁 Niigata University, 人文社会・教育科学系, 教授 (70125805)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上石 圭一 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (80313485)
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Keywords | 民事紛争 / 法の非主題化 / 法意識 / 法行動 / 社会的要因 |
Research Abstract |
人々が紛争に直面したときに、紛争を法的問題として認識し、法的手段を使って終結させようとしない要因(非主題化要因)は何かを検討した。具体的な紛争として、家族関係をめぐる紛争である離婚と相続に焦点を当てて分析したが、(1) 法的紛争処理には時間がかかる、(2) 法的紛争処理にはお金がかかる、(3) 法的紛争処理には精神的負担がある、など法的行動を躊躇させる要因と通常言われているものは、非主題化要因ではなく、法的な知識があることや正当性の意識が乏しいことが非主題化要因となっているという分析結果が出た。今年度の分析だけでは断定は出来ないが、これまで指摘されてきた前述の非主題化要因は、人々の法行動には強く影響を与えていないのではないかと推測される。それよりも、法的知識があって法の主題化をすることが自己に不利に働くなどということのほうが、非主題化要因であるのではないかと思われる。 また、法律相談や自治体の相談(法律相談を含む)さらには警察や保険会社への相談(交通事故の場合)など、相談行動が紛争の相手方への働きかけに影響していることも明らかになった。弁護士への相談のほかは、紛争当事者への有益な支援提供には限界があり、こうした限界が非主題化要因と関係するのではないかと推測されたが、決定的な要因として断定できるまでには至っていない。
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