2004 Fiscal Year Annual Research Report
幹細胞再生医療のための機能性足場とバイオリアクタの開発
Project/Area Number |
15100009
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田畑 泰彦 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (50211371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 雅哉 京都大学, 再生医科学研究所, 助手 (10332735)
梅澤 明弘 国立成育医療センター研究所, 生殖医療研究部, 部長 (70213486)
山岡 哲二 国立循環器病センター研究所, 生体工学部, 部長 (50243126)
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Keywords | 機能性足場 / 幹細胞 / 増殖と分化 / バイオリアクタ / 生体吸収性高分子材料 / スポンジ / 不織布 |
Research Abstract |
再生医療の実現に必要な幹細胞の増殖、分化を促すための医工学的な技術、方法論を研究開発することを目的として、本年度は幹細胞の接着、増殖、分化に与える細胞基材表面の影響について調べた。金蒸着を行ったポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム表面へ片末端がCH_3、OH、COOH、およびNH_2基のアルカンチオールを反応させ、PETフィルム表面へ異なる化学官能基を種々の比率で導入した。ヒト脂肪組織より単離したヒト脂肪由来未分化間葉系幹細胞のPETフィルム上での増殖と骨・脂肪分化は、表面の官能基に大きく依存していた。PETフィルム上へのフィブロネクチンに代表される細胞接着性タンパク質の吸着はPET表面性状に依存していたが、タンパク質吸着と細胞接着とは相関しておらず、吸着タンパク質のコンホメーション変化が細胞接着挙動に影響を与えていることが考えられる。次に、ラット骨髄より採取した未分化間葉系幹細胞(MSC)の増殖に対する培養方法の影響について調べた結果、静置、振とう、旋回の順にMSCの増殖がよくなった。旋回培養においては、細胞の接着基材表面をフィブロネクチン、コラーゲンでコーティング修飾することによって、細胞の増殖は高まった。以上の結果より、幹細胞の増殖、分化は、その培養基材の性質と培養方法によって影響されることがわかった。次に、フィブリンからなるスポンジを作製、その乏しい力学特性の改良を試みた。生体吸収性のポリグリコール酸(PGA)の繊維を組み込むことにより、フィブリンスポンジの圧縮弾性率は高くなった。これらのスポンジは、培養中に収縮せず、細胞の増殖も良好であった。PGA繊維の組み込みがスポンジの細胞親和性を損なうことなく、力学特性を改善できることがわかった。
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Research Products
(4 results)