2005 Fiscal Year Annual Research Report
アクティヴ・バイオマテリアルの光駆動精密設計と組織工学の融合によるステント工学
Project/Area Number |
15200038
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
松田 武久 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (60142189)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木戸秋 悟 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (10336018)
下川 宏明 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (00235681)
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Keywords | ステント / 生体適合化 / 微細加工 |
Research Abstract |
●本研究は、表面および立体構造の光駆動による精密加工技術による細胞機能・組織再生を促進する"アクティヴ・バイオマテリアル"を設計し、これと血管内皮前駆細胞を組み合わせて、従来から研究開発してきた経皮的デバイスであるステントを高機能化し、高品位の血管内再建デバイスを世界に先駆けて開発することを目的とした。 ●具体的には、1)光駆動による合成および表面固定化技術による細胞外マトリックスおよび放射光を用いた超微細および超精密加工による細胞の二次元および三次元移動を能動的に可能にする骨格形成および3)末梢血および骨髄から採取・選択・純化した血管内皮前駆細胞(Endothelial projenitor cell)を体外で完全被覆する技術を組み合わせる。 ●まず、光駆動精密設計によるアクティヴ・バイオマテリアルに関しては、 (1)従来から開発してきた光リビングラジカル重合を用いて、より精密な分子構造を設計し、アクティブ生理活性分子の精密設計を行うと共に、表面グラフト層の超多分岐グラフト鎖による蛋白質非吸着・非吸蔵表面を創製し、"Non-adherent型"生体適合性表面の実現および光グラフト化による細胞接着表面の形成した。 (2)放射光・電子銃等の高エネルギー線源を用いることにより、蛋白質固定化用ナノドメインの作製、およびナノからマイクロスケールまでのドメインサイズおよび分布を変化させた勾配表面の作製を行い、プローブ顕微鏡を用いた一分子蛋白質操作により接着性蛋白質の精密分子配置・固定化。これによって接着蛋白質密度による細胞行動の制御した。 (3)放射光によるナノトポロジーおよびナノ細孔からマイクロスケールの細孔までの勾配を有する立体構造体の作製、および細胞の挙動(接着・伸展・移動・増殖)を制御する二次元・三次元の細胞外環境のナノレベルでの最適設計した。 ●血管内腔に貼り付けて、生体血管と同様な非血栓性機能を発現する細胞として自己の末梢血から内皮前駆細胞(1997年、Asahara & Isner, Science)を採取、選別・純化し、上記のバイオマテリアルを組み込んだステントに完全被覆させる。同時に生体内のsimulation model実験を経て、動脈硬化の冠状動脈(ブタ)にステントを留置し、その生体内での細胞挙動(流血下での接着性、移動、増殖による組織形成)および組織の正常化促進を実証した。この成果をもとにして倫理委員会の許可を得てtranslational research医療を実現する環境を整備することが未解決である。 このように、自己血からの細胞による血管壁組織の構築する医療デバイスを国内外に先駆けて開発し、高齢化社会での"高品位"で"高信頼性"の血管再建医療を実現するものと期待している。
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Research Products
(3 results)