2004 Fiscal Year Annual Research Report
繁殖形質進化と種分化過程:交雑実験・ゲノム解析・数理モデルによるアプローチ
Project/Area Number |
15207004
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
曽田 貞滋 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00192625)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保田 耕平 東京大学, 大学院・農学・生命科学研究科, 助教授 (30272438)
河田 雅圭 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 教授 (11301945)
佐々木 顕 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教授 (17102884)
澤村 京一 筑波大学, 生物科学系, 講師 (90247205)
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Keywords | 種分化 / 生殖隔離 / 交尾器 / QTL / 遺伝子系統樹 / 性フェロモン / 体表炭化水素 / 連鎖地図 |
Research Abstract |
(1)オオオサムシ亜属の生殖隔離形質のQTL解析 2003年に得られたイワワキオサムシとマヤサンオサムシの雑種個体を用い,F1同士の交配と戻し交雑を行った.この子孫について,交尾器の形態測定と体表炭化水素の抽出を行い,DNAを抽出した.幼虫期の死亡率が高く,QTLマッピングに十分な個体数が確保できなかったが,まずAFLPマーカーの連鎖地図作成に関して,予備解析を行った. (2)交尾前隔離要因としての体表炭化水素の進化 体表炭化水素の性フェロモンとしての機能を明らかにするために,マヤサンオサムシを用いた実験を行った.雌体表成分のヘキサン粗抽出物をガラス円筒に塗布すると雄の交尾行動が誘発されるが,カラムで精製すると交尾行動が誘発されなかった.一方エーテル抽出成分にはわずかに反応し,これとヘキサン分画を混合すると交尾行動が誘発された.炭素数の少ない揮発成分に,交尾行動のリリーサーとなる物質がある可能性が示唆された. 京都のオオオサムシ亜属4種について,季節的な体表炭化水素成分の変動と種間の成分の比較を行った.4種のうち山地性の3種では,明らかに繁殖期に特異的に増加する成分があったが,平地性の1種では季節を通して多様な成分を保持していた.また,これら4種の炭化水素成分構成は種特異的であった. (3)ミトコンドリア・核遺伝子を用いたオオオサムシ亜属における種分化過程の解析 オオオサムシ亜属約3000個体分のミトコンドリアND5遺伝子の塩基配列のデータ収集がほぼ終了した.このデータを用いて,同一系統内の地理的分化,交尾器形態の多様化,種間交雑の過程を分析した.また,同所的5種について,2つの核遺伝子,1つのミトコンドリア遺伝子のハプロタイプネットワークを基に,種の系統と核遺伝子の系統の関係を明らかにした(投稿準備中).
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Research Products
(1 results)