2006 Fiscal Year Annual Research Report
中国タリム盆地におけるシルクロード時代の遺跡の立地条件からみた類型化
Project/Area Number |
15251009
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
相馬 秀廣 奈良女子大学, 文学部, 教授 (90196999)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
舘野 和己 奈良女子大学, 文学部, 教授 (70171725)
高田 将志 奈良女子大学, 文学部, 助教授 (60273827)
菅谷 文則 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (10275175)
伊藤 敏雄 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (00184672)
小方 登 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助教授 (30160740)
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Keywords | 遺跡 / 灌漑水路 / 立地条件 / Corona衛星写真 / QuickBird画像 / 且末オアシス / 砂漠化 / 天山北道 |
Research Abstract |
・Web上にGoogleEarthが公開され,一部のアーカイブ化された範囲については,Corona衛星写真を上回る詳しい解像度の衛星画像が容易に入手できるようになっていた.この情報を利用して,且末オアシス西南方遺跡(仮称)を中心に,盆地北西縁のクチャオアシス内の囲郭跡などの現地観察を併せて実施した. その結果,山麓オアシスであった且末オアシス西南方遺跡は,少なくとも長さ8kmに達する盛土型灌漑水跡が存在し,そこから2段階の系統的水路網が派生していること,盛土の規模(周辺の土地からの比高)は3mを超えて米蘭遺跡のものに比べて大きいこと,時代を特定することはできなかったものの住居跡がかなり密集した区域が存在することなどが判明した.また,現地調査結果およびQuickBird画像(当該地域では,web上でGoogleEarthの基礎画像となっている)の解析結果を合わせると,且末オアシス西南方遺跡は米蘭遺跡に比べて砂の沙漠化(飛砂による被覆)が進んでいることが明らかとなった.これは,且末オアシス西南方遺跡が,北東からの卓越風に対して飛砂の供給源となるチェルチェン河の風下側に立地していることを反映している.さらに,このことは,放棄後,遺跡がどのような種類の沙漠化に晒されるかを考察する上で重要な資料を提供することとなった. ・クチャ古城は現在のクチャオアシス内に分布するものの,城壁の日干しレンガのサイズが複数ありことを見出し,併せて,修復されて複数の時期に使用された可能性が高いことを指摘した. ・新彊ウイグル自治区カシュガル北方の烏恰から1959年に出土した大量のササン式銀貨について,出土地がパミール高原から流下するカシガル河の谷間であることを明らかにし,併せて,その谷間がタリム盆地からパミール高原へ至る天山北道の「葱嶺路」として重要であったことを指摘した.
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Research Products
(5 results)