2003 Fiscal Year Annual Research Report
「心神喪失者等医療観察法案」後の刑事司法と精神医療
Project/Area Number |
15330016
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
町野 朔 上智大学, 法学部, 教授 (60053691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩井 宜子 専修大学, 法学部, 教授 (00151704)
小西 聖子 武蔵野大学, 人間関係学部, 教授 (30251557)
中谷 陽二 筑波大学, 社会医学系, 教授 (30164221)
山本 輝之 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (00182634)
長井 圓 横浜国立大学, 大学院・国際社会科学研究科, 教授 (50102215)
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Keywords | 触法精神障害者 / 処遇困難者 / 責任能力 / 薬物中毒 / 保安処分 / treatability / 国際研究者交流 / イタリア |
Research Abstract |
1(1)いわゆる心神喪失者等医療観察法は、平成15年7月に成立し、公布された。この法律は、わが国ではじめて、犯罪行為を行った精神障害者に対し特別な処遇を行う体制を作ることになる画期的なものであるが、本研究は、この法律後の精神医療が将来どのような姿であるべきかを、法学者と医学者の共同研究のもとに検討するものである。 (2)従来の精神医療では対処しきれないとされていたのは、いわゆる処遇困難者、そして薬物中毒者であった。しかし、これらの問題は対象者の行為時の刑事責任能力と関係ないのであって、この法律で対応できるものではない。本研究の目的は、この法律によっても「問題は決して終わっていない」ということを前提にして、これらの精神障害者への医療をどのようにして保障していくべきかを明らかにすることにある。 (3)新法では公布から2年を超えない日に施行されることが予定されているが、さまざまな問題点が既に指摘されている。この法律による医療を向上させ、かつ対象者の権利を保障するためにどのような改善が必要になるかについても、本研究で検討すべき点である 2(1)以上の目的を実現するために、本研究では次のようなことを行った。 (2)まず、処遇困難者問題、薬物中毒者問題に関する国内外の文献の収集を行い、それを分析した。 (3)また、これらの問題に携わる人々の意見を聴取した。本年度は、鑑定に携わる精神科医、報道関係者、警察、検察(法務省)、厚生労働省などの意見を伺う機会を設けた。 (4)一方、これらの問題に対する比較法的調査も試みた。本年度は、新法ができる過程で新法以外のあり方として紹介されていたイタリアの制度と実態を調査した。 (5)最後に、本研究の研究分担者・研究協力者同士の研究会で意見交換を行った。この研究会は法学者、精神医学者、臨床家、法律実務家、官僚、報道関係者といったメンバーを含むものであった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 町野朔: "精神保健福祉法と心神喪失者等医療観察法-保安処分から精神医療へ"ジュリスト増刊 精神医療と心神喪失者等医療観察法(仮題). (2004)
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[Publications] 中谷陽二: "触法精神障害者-問題の広がりと深層"ジュリスト増刊 精神医療と心神喪失者等医療観察法(仮題). (2004)
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[Publications] 岩井宜子: "責任能力の概念-法律から"ジュリスト増刊 精神医療と心神喪失者等医療観察法(仮題). (2004)
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[Publications] 小西聖子: "被害者ケアからみた触法精神障害者の問題-心理学的視点からの検討"ジュリスト増刊 精神医療と心神喪失者等医療観察法(仮題). (2004)
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[Publications] 山本輝之: "精神医療へのアクセス-移送問題について"ジュリスト増刊 精神医療と心神喪失者等医療観察法(仮題). (2004)
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[Publications] 柑本美和: "心神喪失者等医療観察法おける社会内処遇"ジュリスト増刊 精神医療と心神喪失者等医療観察法(仮題). (2004)