2006 Fiscal Year Annual Research Report
人口減少社会における社会・経済政策の立案援助手法の研究
Project/Area Number |
15330050
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
藤正 巌 政策研究大学院大学, 政策研究科, リサーチフェロー (30010028)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松谷 明彦 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (00303090)
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Keywords | システム工学 / モデル化 / 政策研究 / 人口推計 / 地理情報化システム / マクロ経済学 / 社会構造変動 / 地域政策 |
Research Abstract |
社会経済政策の立案援助のために開発してきた社会構造推計モデル2000の単年度モデルでは,政策変数によって変化する将来の社会構造のパラメータが,どの程度の精度で適合するかは不明であった.このため,2000年からの推計の結果を,その後の社会構造と機能のデータとつきあわせて,政策変数のフィードバック回路を社会構造推計モデルにどのように入れるかの検討を本年は行った.幸にこの研究費の終了間際に,2005年の国勢調査の結果が公開された.この結果を用いて2006年度(平成18年度)に社会構造推計エンジンの基幹部が完成し,公開されつつある.このエンジンを利用して,国立研究機関や他の研究機関より早く,全都道府県の2005年人口構造推計が完了した.この推計エンジンは死亡関数・出生関数・移動関数・地域差関数など,多数の基本推計ブロックから成り立っていて,それぞれに独特のアルゴリズムを使用している.2000年からの推計データと2005年国勢調査の実測値とを照合した分析結果を組み込んで完成した社会構造推計モデルを使って,年齢階級別の日本総人口を5年毎に推計してみると,経済活動と直結する,25〜54歳の働き盛りを対象とした生産年齢人口は,2000年の5373万人の極大値から,2030年には3800万人程度になる.この値は,極大値より1500万人減で,この間に人口が約1000万人減少するのと比較すると1.5倍の減少となる.高齢者扶養の対象となる75歳以上の後期高齢者人口は,この間に1660万人増の2570万人程度となることが読みとれ,将来の経済成長や社会負担に多くの論争点が提起できた.われわれは,これでこれからの人口減少時代の基礎を提供しえたと考えている.
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Research Products
(7 results)