2003 Fiscal Year Annual Research Report
固体水素中のオルソ水素核スピンコヒーレンスの量子制御
Project/Area Number |
15340131
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
白田 耕蔵 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (80164771)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桂川 眞幸 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (10251711)
鈴木 勝 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (20196869)
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Keywords | 固体水素 / 核スピン / 量子コヒーレンス / 近接場 / 極細光ファイバー |
Research Abstract |
計画初年度にあたる15年度においては、オルソ水素の核スピン量子コヒーレンス制御の基本事項を確立すべく研究を実施した。また一方、光導入法として提案した極細光ファイバーの近接場を用いる原子・光系のコヒーレント相互作用について物理的な基盤を確立することを目指して実験・理論の両面で研究を行った。 オルソ水素核スピン制御については、制御用高安定レーザー(波長2.4μ)を2重共鳴OPO方式により完成させた。このレーザーを用いてオルソ水素の振動遷移を計測し、スペクトル線幅が5MHzHWHM程度と極めて狭く、その幅も結晶の不均一性により決まっていることを示した。また、軸磁場として2テスラの超伝導磁石を組み込んだクライオスタットをほぼ完成させた。このクライオスタットは温度制御・冷却方式を固体水素結晶作成と光学実験の双方の目的に適宜選択できる。良質の結晶作成と高精度の光学実験が実現可能になると思われる。 極細光ファイバーの近接場を定量的に理論的に解析した。その結果、極細ファイバーとして直径0.4ミクロン程度の波長以下のサイズのものが準備することが必要であることを示した。また、市販のファイバーカップラー作成装置を転用し最適化することにより0.5ミクロン以下の極細ファイバーを作成できることを示した。 なお、当初予測していなかった成果も得られた。それは極細ファイバーの近接場の系統的な研究から、この近接場と極低温原子を組み合わせれば従来にない新しいタイプの原子トラップが実現できることを示したことである。要点は極細ファイバーの近接場(赤方離調)は動径方向に急速に減衰するのでこの領域に侵入した原子には大きな引力型の双極子力が働く。一方、原子は有限な初速度を持っているので動径方向に遠心力も働くのでその釣り合いとしてファイバー近傍を周回する原子軌道が実現できることである。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Fam Le Kien, K.Hakuta: "Resonantly enhanced four-wave mixing in a modified double-Λ scheme : Effect of the decay of the upper level"Physical Review A. (in press).
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[Publications] G.J.Lee, K.Hara, M.Katsuragawa, K.Hakuta: "Stimulated Raman scattering in vapor-deposited solid hydrogen film"Japanese Journal of Applied Physics. 42. 6450-6453 (2003)
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[Publications] A.K.Patnaik, Fam Le Kien, K.Hakuta: "Manipulating the retrieval of the stored light pulses"Physical Review A. (in press).
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[Publications] Fam Le Kien, A.K.Patnaik, K.Hakuta: "Multiorder coherent Raman scattering of a quantum probe field"Physical Review A. 68. 063803 (2003)
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[Publications] A.K.Patnaik, J.Q.Liang, K.Hakuta: "Engineering the dispersion of a fiber mode via molecular coherence"Journal of Modern Optics. 50. 2595-2604 (2003)
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[Publications] Fam Le Kien, K.Hakuta: "Parametric beating of a quantum probe field with a prepared Raman coherence"Physical Review A. 67. 033808 (2003)
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[Publications] Fam Le Kien, A.Koreeda, K.Kuroda, M.Suzuki, K.Hakuta: "Temperature dependence of the Raman shift and width of solid parahydrogen : Effect of vibron-phonon scattering"Japanese Journal of Applied Physics. 42. 3483-3489 (2003)