2004 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブを用いた超高速単一分子スイッチング素子の開発
Project/Area Number |
15360020
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
畑 浩一 三重大学, 工学部, 助教授 (30228465)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 弥八 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90144203)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 分子吸着・脱離 / 電界電子放出 / 光刺激脱離 / 電子ナノデバイス |
Research Abstract |
本研究の目的は,多層CNT先端の五員環上で生じる単一ガス分子の吸着・脱離現象を人為的に制御することで,これに伴う電界放出電流の再現性よい変化を利用した単分子デバイス開発の可能性を探ることである。具体的には,Nd:AGパルスレーザ照射により吸着分子の人為的脱離を試みると共に,放出電流の変化およびCNTの損傷を電界放出顕微鏡法(FEM)により調べる。最終年度の本年は,吸着分子種として水素を用い,また,照射光にYAGの2倍波(波長532nm)を用いて以下の知見が得られた。 (1)水素吸着前の清浄な五員環への光照射実験では,照射に伴い放出電流が階段状に増加した。またこの電流増加量は,光強度に対して指数関数的な振る舞いを見せた。レーザ照射による温度上昇に起因して,電子放出機構が電界放出からショットキー放出へ移行したものと思われる。なお,放出電流は時間経過とともに光照射前の電流値まで減少した。 (2)水素吸着した五員環への光照射実験では,CNT先端の電界強度が弱い場合において五員環に損傷を与えることなく水素の脱離が観察された。この場合の放出電流の変化にはCNT先端の温度上昇は観測されないことから,水素の脱離機構は熱脱離ではなく,光刺激脱離であることを示唆した。 (3)CNT先端の電界強度が強い場合においては,水素は脱離脱離するものの五員環には損傷が見られた。この場合,吸着水素はCNTから炭素を奪い,炭化水素として脱離するものと考えられる。
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Research Products
(5 results)