2003 Fiscal Year Annual Research Report
X線多層膜非球面レプリカ反射鏡の開発と表面のナノ構造解析
Project/Area Number |
15360075
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
難波 義治 中部大学, 工学部, 教授 (40029129)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 直之 中部大学, 工学部, 助教授 (60201977)
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Keywords | 非球面金型 / レプリカ反射鏡 / Pt / C多層膜 / 離型 / 透過型電子顕微鏡 / AFM / X線光学素子 / 超精密ダイヤモンド切削 |
Research Abstract |
1962年に打ち上げたX線天文ロケットで、宇宙X線源が初めて観測されて以来、X線天文学が発達したが、21世紀は観測波長が軟X線から硬X線へと変化する。従来のX線望遠鏡は、表面すれすれに入射したX線が円筒内面で全反射する現象を利用し、軟X線を集光・結像するもので、反射面にはAuもしくはIrがコートされていた。 より波長の短い透過力め高い硬X線を検出して新しい天文物理学を確立するため、名古屋大学では、重元素Ptと軽元素Cを一定の厚さで交互に、超平滑な基板上に周期長を可変にして多数積層した準周期的な層状構造を持ち、X線を分光・集光・結像させる多層膜スーパーミラーを開発した。この場合、2種類の物質の界面粗さを小さくすることが高い反射率を得るために重要であり、高い結像性能と広い有効反射面積を得るためには高精度なX線多層膜非球面レプリカ反射鏡が必要である。 超精密非球面加工装置による無電解ニッケル非球面金型の超精密ダイヤモンド切削を行うと共に、超高精度三次元形状計測器により非球面形状の測定を行った結果、形状精度200nmの非球面金型が得られた。無電解ニッケルの平面研磨では0.1nm rms台の表面粗さが得られ、これにPt-C多層膜を成膜し、離型した結果、離型したPt/C多層膜の表面粗さは0.1nm rms台であった。しかし、離型作業そのものは極めて困難な工程であり、今後の更なる研究が必要である。非球面金型からの基板の離型を試みた結果、金を離型剤に使用することにより離型が容易になることが確かめられた。また、Pt/C多層膜を離型するためのレプリカ反射鏡製作用真空加熱・冷却システムの設計および構成要素の購入を行い、今後は組立、改良を行い、X線多層膜非球面レプリカ反射鏡を作成する。 シリコン単結晶研磨面へのPt/C多層膜の成膜条件の最適化を図ると共に、多層膜のナノ構造を超高圧透過電子顕微鏡並びに走査型プローブ顕微鏡で観察した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Y.Namba: "Optical Surface Generation of Organic Nonlinear Crystals by Single-Point Diamond Turning"Annals of the CIRP. 52, 1. 475-478 (2003)
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[Publications] 難波義治: "加工学・加工機器概論"日本機械学会誌. 106, 1017. 630-630 (2003)
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[Publications] 山下廣順: "多層膜スーパーミラー硬X線望遠鏡"物理学会誌. 59, 2. 77-83 (2004)
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[Publications] S.F.Soares: "Experimental Quantization of Surface and Sub-Surface Structure in Float Polished Crystalline Quartz"JSME Int'l Journal. 47, 1. 93-97 (2004)
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[Publications] Y.Namba: "Single-point diamond turning of DAST crystals"Proc.of SPIE. 5180. 55-63 (2004)
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[Publications] N.Ohnishi: "HRTEM analysis of Pt/C multilayers"Proc.of SPIE. 5168. 508-517 (2004)