2003 Fiscal Year Annual Research Report
光シグナル伝達における光受容体間のクロストークの解析
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15370020
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長谷 あきら 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40183082)
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Keywords | 光応答 / シグナル伝達 / フィトクロム / クリプトクロム / 伸長成長 / 花芽形成 / 青色光応答 / シロイヌナズナ |
Research Abstract |
植物は、フィトクロム、クリプトクロム、フォトトロピンなどの光受容タンパク質の働きにより、光環境の変化に敏感に応答することができる。これらの光受容体は、単独で光応答を引き起こすだけでなく、他の光受容体と様々な関係を保ちながら機能していると考えられる。このような光受容体間のクロストークが存在することで、植物は光に対してより精微に応答することが可能となると想像されるが、その分子機構についてはほとんど不明である。本研究では、光受容体の間のクロストークの分子機構解明をめざし、以下の成果を得た。 1)phyBとcry2,phyAの相互作用の解析 花芽形成の制御においては、phyBとcry2の間に強い相互作用が見られる。そこで、組織特異的発現系を用いてphyBとcry2が機能する場を組織レベルで明らかにする。この目的に従って、phyBを組織特異的に発現するシロイヌナズナの形質転換体について、花芽形成を調べ、花芽形成の抑制は葉肉細胞で発現するphyBの働きによることを明らかにした。さらに、cry2とphyBの相互作用の場を調べるため、cry2を組織特的に発現する植物の作出に着手した。 2)phyBの各ドメインの機能解析 phyBのN-末端側ドメインは約650アミノ酸よりなるが、これをさらに削り込み、その生理機能を調べた。その結果、N-末端側より約450アミノ酸までの領域でシグナル伝達に十分であることが明らかになった。一方、C末端領域については、これを発現させても顕著な表現型は得られないことが知られているが、このような植物に対して変異原処理を行い、光応答に異常が見られる植物のスクリーニングに着手した。 3)cry1依存的phyB反応の解析 先に行った解析に技術的な問題があったことが判明したため、この計画については、その解決に努めた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Matsushita, T., N.Mochizuki, A.Nagatani: "Dimers of the N-terminal domain of phytochrome B are functional in the nucleus"Nature. 424. 571-574 (2003)
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[Publications] Tamura, K, T.Shimada, E.Ono, Y.Tanaka, Nagatani, S., Higashi, M., Watanabe, M.: "Why green fluorescent fusion proteins have not been observed in the vacuole of higher plants"Plant J.. 35. 545-555 (2003)
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[Publications] Yamamoto, Y., E.Sato, T.Shimizu, Nakamich, S., Sato, T., Kato, S., Tabata, A.: "Comparative genetic studies on the APRR5 and APRR7 genes belonging to the APRR1/TOC1 quintet in circadian rhythm, control of flowering time, and early photomorphogenesis"Plant Cell Physiol.. 44. 1119-1130 (2003)
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[Publications] 松下智直, 長谷あきら: "フィトクロムBはN末端領域から光シグナルを伝達する"細胞工学. 22・9. 994-995 (2003)