2005 Fiscal Year Annual Research Report
XおよびY染色体連鎖遺伝子群が関与する多因子性・致死性疾患の遺伝解析
Project/Area Number |
15500305
|
Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
須藤 淳一 独立行政法人農業生物資源研究所, 農業生物資源研究所・生体防御研究グループ, 主任研究官 (60355740)
|
Keywords | Dh(Dominant hemimelia) / 成長障害症 / 致死症 / 多因子疾患 / X染色体 / Y染色体 / Y染色体コンソミックマウス / 精巣重量 |
Research Abstract |
2つのマウス近交系統、♀DDDおよび♂DH-Dh/+間のF1♂Dh/+マウスは、生後まもなく成長障害を示し死亡する。死因は直腸膀胱瘻による排泄不全である。F1♀Dh/+は発症しない。また、♀DH-Dh/+および♂DDD間のF1♂DH/+マウスも発症しない。本疾患は、1番染色体Dh遺伝子座、X染色体Grdhq1座、およびY染色体遺伝子座の独立した3遺伝子座における特異的アレルの組み合わせにより生じる多因子性遺伝疾患である。本研究の目的は、これら3遺伝子座、特にXおよびY染色体座の原因遺伝子を同定することである。本年度は、X染色体Grdhq1座領域に存在する候補遺伝子Mid1などについて、DDD系統での変異を検索したが、原因変異は同定できなかった。Y染色体座については、昨年までの結果を継続・追加し、様々な近交系由来のYをDHの背景に戻し交配したYコンソミック系統(現在ほぼ戻し交配の20〜30世代程度)を作出した。♀DDDとの交配結果、本症を発症するYと発症しないYの2種類のY染色体が実験用マウスに共存していることを証明した。昨年度、Yコンソミック系統間の比較において、精巣の重量に差があることを示す予備結果を得たため、本年度は上記のYコンソミック系統間の精巣重量を比較し、徹底した証明を行った(継続中)。♂DH-Y-+/+コンソミック間には精巣重量の差は認められなかったが、♂DH-Y-Dh/+コンソミック間には有意な精巣重量差が認められた。この結果は、DhがY染色体遺伝子と相互作用することを示している。精巣重量の重さ・軽さと上記の致死疾患発症の有無との間には、Yの種類に関して、明確な相関は認められなかった。従って、Dhは複数のY染色体遺伝子と相互作用している可能性が示唆された。
|