2003 Fiscal Year Annual Research Report
遠心性収縮による運動療法がラット骨格筋に及ぼす影響
Project/Area Number |
15500361
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
黒木 裕士 京都大学, 医学部, 助教授 (20170110)
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Keywords | ラット / 骨格筋 / 遠心性収縮 / トレッドミル / 運動療法 |
Research Abstract |
ウイスター雄ラットに下方傾斜をつけたトレッドミル走行をさせ,運動直後および48時間後に致死量のネンブタールを投与して安楽死後,筋試料を採取した.採取試料は通常のエタノール系列で脱水後,キシレン浸透させ,パラフィンに包埋した.この包埋標本から6μm厚縦断および横断切片をミルロトームで切り出し,プレパラートに乾燥接着後,ヘマトキシリン・エオジン染色して光学顕微鏡(Nikon E-600)を用いて検鏡した.その結果,一部の標本からは筋破壊像,間質のマクロファージ浸潤像および中心核像の異常が認められた.これとは別に,3週間尾部懸垂して飼育したラットから採取した筋標本をヘマトキシリン・エオジン染色して検索したところ,明らかな廃用性筋萎縮像を認めた. 異常筋線維の比率はすでに報告した結果と酷似していた.すなわち下方トレッドミル走行直後に異常のある筋線維の比率は概ね2%前後で,運動から48時間経過後にはその比率は1%程度まで回復した.これに対して水平トレッドミル走行した場合,走行直後には約1%であった異常筋線維の比率は48時間後には0.2〜0.3%となった.この結果から,正常ラットに低負荷運動プロトコル(水平トレッドミル走行)を負荷すると損傷が拡大せずに48時間後に回復する兆しが認められるのだが,遠心性運動プロトコル(下方トレッドミル走行)では回復遅延が生じ運動の48時間後にまだ損傷が残存していることが示唆された.
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